エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.265
2013.09.15 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
本稿最後は、実際に組み込みを行い、気がついた事などをご紹介しておこう。PCケース内部容積も大きく、構成パーツの搭載スペースが十分に確保されているため、標準サイズのミドルタワーPCケースに比べ、組み込みはし易い。
あとはHDD(SSD)を組み込めば完了という時点で、左側面から眺めてみる。なお今回の組み込みテストでは、オールインワンタイプの水冷クーラーをマウントさせている。空冷CPUクーラーを使う場合の有効スペース(高さ)は、公称206mmとされている | |
右側面、マザーボードトレイ背面。ケーブルマネジメントホールを上手に使えば、無理のない配線ができる |
ケーブルマネジメントホールは随所にレイアウトされているため、裏配線も容易に行う事ができる。ただしPCケースが大きいため、ATX規格のマザーボードでは、最も使用頻度が高い側面のマネジメントホールまで距離がある。一般的な電源ケーブルでは長さが足りず、せっかくのスルーホールが宝の持ち腐れになる可能性が高い。幸いにして、マザーボードの末端にはCPUクーラーのカットアウトがあるため、ここを使う手もある。構成パーツと電源ケーブルの長さを考慮し、上手にまとめておきたい。
ケーブルマネジメントで重要な、マザーボードトレイとサイドパネル間の空きスペースをチェックすると、実測で25mmを切る程度。加えてマザーボードトレイ背面の面積が広いため、裏配線のために引き回した余分なケーブル類を収めるには十分だ。
マザーボードトレイとサイドパネル間の空きスペースは実測で約25mmを切る程度。裏配線には十分だろう |
拡張カードの搭載スペースは、公称で最大365mmとされている。今回は長さ295mmのグラフィックスカードを搭載させてみたところ、シャドウベイ(HDDケージ)ユニットに標準搭載される140mm口径ファンとの距離は実測約50mmだった。これ以上長いグラフィックスカードを搭載する場合は、この冷却ファンを取り外す事で、最低でも25mm(冷却ファンの厚さ分)を確保する事ができる。
グラフィックスカードの長さは公称295mm。シャドウベイ(HDDケージ)ユニットに標準搭載された140mm口径冷却ファンまでの距離は実測約50mmだった |
最後にトップ部のラジエター搭載スペースを計測しておこう。最も重要なのは、トップパネルとマザーボードまで、どれほどのスペースが確保できているか。今回検証に使った240mmサイズラジエターは、厚さ約50mmだが、マザーボードに干渉する事無く、余裕をもって搭載できている。さすがに水冷システムに特化した設計だけあって、なんら心配はない。
トップパネルとマザーボードまでの距離は実測約62mm。冷却ファン(25mm厚)と合わせて厚さ50mmのラジエターは、問題無く搭載できる事が分かった。オマケにマザーボードと平行して装備されるケーブルマネジメントホールもそのまま使う事ができた |
初めて「GRone」の現物を見たときの印象を正直にいえば、少々大味なPCケースかもしれない、そんなところだった。しかし外装から内装まで、細かくチェックを進めるうち、PCケースメーカーの老舗 In Winらしい実直なモデルであることが分かった。
奇をてらったギミックで武装するPCケースが多い中、オーソドックスな設計が功を奏し、「GRone」は基本に忠実なPCケースに仕上げられている。
決して従来品を単純にスケールアップしたモデルではなく、大型ラジエターが複数搭載できるなど、昨今の自作ニーズを汲み取っている点も抜かりはない。360mmサイズラジエター(トップ面)と240mmサイズラジエター(ボトム面)が共存できるPCケースとしては、手頃な価格であり、最も水冷に特化された佳作といっていいだろう。