エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.271
2013.10.19 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
PCケース選定で重要視されるドライブベイレイアウトをじっくり解説していこう。「CM 690 III」は5.25インチオープンベイと上下に分割された3.5インチシャドウベイ、そして独立した2.5インチシャドウベイを用意。さらに新機構「SSD/HDDコンボトレイ」を採用したことで、実に多彩なストレージ構成でPCを組み上げることができる。ここではその全てをご覧に入れよう。
昨今存在感が薄れつつある5.25インチオープンベイ。クラウドコンピューティングがいくらもてはやされようとも、デスクトップPCユーザーにとって光学ドライブはやはり必要な構成パーツであるはずだ。
「CM 690 III」では全3段の5.25インチオープンベイを備え、全段ツールフリーで光学ドライブをマウントする事ができる。なおドライブベゼルは防塵フィルタ付きのメッシュ仕様。このあたり、初代「CM 690」の意匠が受け継がれているといえるだろう。
防塵フィルタ装着の5.25インチベゼル。固定は両サイドの爪によるもので、リリースはPCケース内部から行う事になる。着脱にフロントパネルを外す必要はない | |
光学ドライブをガイドに沿ってスルスル滑り込ませると、ネジ穴部でロックが掛かるツールフリー機構を採用。プッシュブタンを押せばロックが解除され、引き出す事ができる仕組み |
インターフェイスをマザーボードトレイ背面方向に搭載させるストレージマウント設計は、初代「CM 690」がその原型を作ったともいえる。発売当時主流ではなかったこのスタイルを提唱し、ABS樹脂の柔軟な素材特性を生かしたツールフリー式トレイは、現在多くのPCケースが採用するようになっている。その先駆者は「CM 690 III」でさらに進化した新機構を用意してきた。
上下2分割式のシャドウベイは、標準状態では上段4つが2.5インチ用、下段3つが3.5インチ用。このスタイルの元祖である「CM 690」シリーズは、最新作で新たな機構を用意してきた |
標準状態で上段2.5インチ×4段、下段3.5インチ×3段のシャドウベイは、「SSD/HDDコンボトレイ」と呼ばれる専用トレイを新たに導入。さらにネジ留めされた上段左側面のステイを移動させる事で、2.5インチシャドウベイを3.5インチシャドウベイとして使用できるのだ。
レイアウト変更可能なシャドウベイは、ストレージの組み合わせを自在にするだけでなく、拡張カード有効スペース拡大も想定されていた。
シャドウベイ上段は、拡張スロットの延長線上に位置する。2.5インチシャドウベイの状態で使用すれば、グラフィックスカードの搭載可能スペースは312mm、フル3.5インチ化で280mmに縮小、さらにシャドウベイ上段全てを取り払えば、423mmの広大なスペースが確保できてしまう。このように、新機軸「SSD/HDDコンボトレイ」の採用と、柔軟なシャドウベイ機構により、多様なユーザーからのリクエストに応える準備ができている、それこそが「CM 690 III」最大の見せ所といえるかもしれない。
2.5インチドライブ専用のシャドウベイも3カ所に用意。いずれも付属のゴムブッシュ「Anti-vibration pad」をネジで固定。これを専用シャドウベイ部にある4カ所の穴にはめ込み、スライドロックさせてマウントする。3.5インチシャドウベイが排他仕様であるため、すでに多くのSSDが搭載できるワケだが、それに飽き足らない、または3.5インチHDDも複数搭載させたいユーザーには重宝するだろう。
2.5インチ専用シャドウベイその1は、マザーボードトレイ背面に装備。マザーボードの拡張スロット辺りにレイアウトされており、PCケース背面だけでケーブル配線する事ができる | |
2.5インチ専用シャドウベイその2は、5.25インチオープンベイのボトムパネルを使用 | |
2.5インチ専用シャドウベイその3は、ボトム部120mm口径ファン搭載スペースとの排他仕様。どれを使うかはユーザー次第というワケだ |