エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.304
2014.02.22 更新
文:GDM編集部 池西 樹
チューニング動作を確認したところで、ここからはベンチマークソフトを使い、性能への影響をチェックしていくことにしよう。まずはCPU向けベンチマーク代表として「CINEBENCH R15」にて計測を行った。
CINEBENCH R15(cb) |
シングルコア、マルチコアとも約17%と大幅にパフォーマンスが向上した。とりわけ、軽負荷時には素早く動作クロックを引き上げるIntel Turbo Boostと違い、KaveriのTurbo Coreは反応が鈍い。シングルスレッドのパフォーマンスを重視するなら、プリセットチューニングによるオーバークロックはかなり有効な手段となるだろう。
続いて3Dベンチマークの定番「3DMark」の影響を確認していこう。プリセット設定はノート/ホームPC向け「Cloud Gate」とハイパフォーマンスPC向け「Fire Strike」の2種類を選択している。
3DMark:Cloud Gate | |
3DMark:Cloud Gate |
グラフィックス性能が重要なGraphics Scoreの伸び率は、「Cloud Gate」で約11%、「Fire Strike」では約15%と良好な結果。CPU性能を図る「Physics Score」も、約20%向上し、総合スコアも大幅に引き上げられている。
次に実際のゲームに即したベンチマークとして、「ファイナルファンタジーXIV」2期目タイトル“新生エオルゼア キャラクター編”での計測を行った。品質設定のプリセットは“標準品質(デスクトップPC)”と“高品質(デスクトップPC)”を使用し、解像度は1280×720ドットと1920×1080ドットの2パターンで計測を行っている。
標準品質(デスクトップPC) | |
高品質(デスクトップPC) |
“標準品質(デスクトップPC)”では、1280×720ドットで“非常に快適”とされる7,000を軽々クリア、1920×1080ドットでも“快適”な動作が保証される3,500を上回る素晴らしいスコア。“高品質(デスクトップPC)”でも標準的なプレイなら問題ないレベルで、「ファイナルファンタジーXIV」なら別途グラフィックスカードは必要ないだろう。チューニングによる効果もしっかりと結果に表れており、画質設定を向上させたい場合には検討してみるといいだろう。
最後にオーバークロックによって、どの程度消費電力に影響があるのか確認しておこう。アイドル時は10分間放置した中で最も低い値、高負荷時は「CINEBENCH R15」と「3DMark」動作中で最も高い値とした。
(CAP)消費電力(W) |
アイドル時は省電力機構により、CPU/GPUとも同等レベルまで調整されるため、ほとんど変化なし。高負荷時は「CINEBENCH R15」で17.6W、「3DMark」で13.3W増加しており、電源容量が小さい場合には注意したい。とはいえ、パフォーマンスの大幅な伸びを考慮すれば十分許容範囲。別途グラフィックスカードを増設するよりは、消費電力・投資とも大幅に少なくて済む計算で、性能不足を感じるなら、まずはチューニングから試してみるといいだろう。
他社に先駆け「Configurable TDP」に対応したASRock。今回の検証では、設定TDPに合わせてしっかりと消費電力が制限され、発熱も大幅軽減されることが確認できた。これまで冷却性能やエアフローが厳しいコンパクトPCでは、もっぱら省電力モデルが選択されてきたが、「FM2A88X-ITX+」とKaveriなら不要。季節や用途に合わせてTDPを選択することで、安定性を維持したまま最大限のパフォーマンスを引き出すことができる。
またハイエンド並みの4+2フェーズ電源回路や高品質コンポーネント、豊富なチューニング項目により、かなりアグレッシブなオーバークロックでも安定動作が可能。メモリも最大2,400MHzの高クロック動作までサポートされ、ハイパフォーマンス向けとしても十分。近頃流行りのゲーミング向けMini-ITXケースを組み合わせ、AMDプラットフォーム最高レベルのPCに挑戦してみるのも面白い。