エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.311
2014.03.27 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
次に騒音値を見ていこう。CPUクーラーから30cm離れたポイントにデジタル騒音計を設置。室内騒音値28.6dBA環境で計測を行った。アイドル時は動作クロックに依存する事無く、冷却ファン回転数はほぼ同じ数値である事から、動作音も30.8dBAと30.9dBAで開きはない。問題は高負荷時だが、3.50GHzの39.8dBAに対し、3.90GHzは42.9dBAで、その差は僅か3.1dBAに留まった。回転数にして598rpm(最大時)もの差がありながら、実際耳で聞こえる差も僅かでしかない。
騒音値テスト ※室内騒音値28.6dBA |
若干乱暴な考察である事は承知の上だが、「ETS-N30-TAA」搭載の92mm口径ファンは、ある一定回転数より最大回転数までは騒音値の差が出にくい傾向にある。ならば、ほどほどに冷やす程度の回転数に抑えるよりも、最大回転まで動作させ、冷却能力を常時最大限にして使用する方がいいのではないか、という考え方もあるだろう。
テストセッションの最後に、ヒートシンクのポイント別温度計測を行った。今回は放熱フィン20箇所と、受熱ベース部の合計21ポイントについて、高負荷状態での熱分布をチェックした。なお計測には非接触型デジタル温度計を使用している。
受熱ベース部は3.50GHz時で24.6℃、3.90GHz時で24.5℃ |
ENERMAXのCPUクーラーラインナップとしては、エントリーモデルの「ETS-N30」シリーズ。上位モデル「ETS-T40」シリーズが盤石なだけに弟分への期待は大きく、どうにか「二枚看板」の体制を作りたいというのがメーカーの本音ではないだろうか。
「ETS-N30」シリーズは近頃多く見られる、ナロータイプヒートシンク設計の中型CPUクーラーだが、冷却性能も及第点以上で問題はない。92mm口径冷却ファンの風量と、放熱フィン面積を考慮すれば、過剰なオーバークロック用途には不向きだが、定格常用ユーザーにとっては、売価も手頃で手を出しやすい。特にENERMAXお得意のAPOLLISHタイプBlue LEDファンを搭載する「ETS-N30-TAA」は、冷却性能だけでなくドレスアップ要素としても面白い存在だ。今後ライバルが増えるであろうナロータイプヒートシンク設計モデルの中にあって、抜き出ていく素質は十分あるだろう。