エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.313
2014.03.31 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
基板から取り外された「TRI-X」クーラーの雄姿。クーラーカバーの装飾とはひと味違った、重厚な金属の質感を味わうことができる |
「R9 290X TRI-X OC」最大の魅力は、何と言っても基板を覆い隠す大型クーラー「TRI-X」の存在だ。全重量のほとんどがこのクーラーに由来することは言うまでもなく、基板から引き剥がされた状態でもかなりの迫力がある。
まず注目は、SAPPHIRE製グラフィックスカードの代名詞とも言えるベイパーチャンバー採用の受熱ベースだろう。中空構造のベース内に液体を封入し、その気化と凝縮を利用して熱伝導を高めるこの技術。今や多くのハイエンドモデルに採用される仕組みだが、そもそもはSAPPHIREによって初めてグラフィックスカード分野に持ち込まれた。先進的アプローチと蓄積されたGPU冷却のノウハウとを併せ持つ同社の最新型クーラー、それがこの「TRI-X」というワケだ。
SAPPHIRE製グラフィックスカードのクーラーといえば、ベイパーチャンバー採用の受熱ベース。同社がこの分野に持ち込んだ技術とあって、すっかり代名詞的なワードになっている | |
受熱ベースを取り囲んでいるのは、このクーラーの“骨格”を兼ねた金属製の1枚プレート。もちろんヒートシンクとしての役目も担っており、サーマルパッドを介してメモリや基板上の重要チップを冷却している |
そしてその受熱ベースには、大小合わせて5本のヒートパイプが接続。2本の6mm径ヒートパイプを従えた、8mm径の極太ヒートパイプ3本が分割構造のヒートシンク中央を貫通する豪快な設計で、それらに移送された熱は3基の冷却ファンが余すところなく吹き飛ばしてくれる。これら冷却機構がカード長を300mmオーバーにまで大型化させてしまったが、安定性確保と高い静粛動作のためにはやむなしだろう。