エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.313
2014.03.31 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
今回あえてマニュアルでのオーバークロックには触れずにここまで来たが、もちろん「R9 290X TRI-X OC」はまだまだ潜在能力を秘めている。実際テスト中も「TRI-X」クーラーはかなり余裕を残して動作しており、SAPPHIREも「TriXX OC Utility」という、なかなか使い勝手のいいチューニングツールを用意してくれている。
そこで最後に「R9 290X TRI-X OC」のポテンシャルを見極めるため、やや軽めのオーバークロックにもチャレンジしてみた。
直感的にクロック調整できるSAPPHIREの「TriXX OC Utility」。「TRI-X」クーラーを装備する「R9 290X TRI-X OC」はかなり余裕のあるモデルのため、ユーザー自身でパフォーマンスアップを狙ってもいい | |
ほんの片手間ながら、リファレンス比9%アップの1,090MHzで動作する。多少ゲタを履かせる程度なら、初心者でも問題なくカスタマイズできるハズだ |
メモリクロックやコア電圧には触らずコアクロックのみを調整した結果、1,090MHzまでスンナリとクロックアップできた。これ以上は他の部分に手を入れる必要がありそうなものの、多少のパフォーマンスアップを狙う分には誰でも手軽に設定できる。ゲームプレイに不満が出た場合は、多少の味付けでゲタを履かせてあげるのもいいかもしれない。
OCの効果を「3DMark」でチェック。出荷時と比べても約4%スコアがアップしており、リファレンス比では最大10%の性能差を簡単に実現できている |
とかく発熱の高さで名を馳せるRadeon R9 290Xだけに、オリジナルモデルの評価はクーラーの出来栄えに直結する。もちろんそうとなればメーカー各社腕の見せどころ、市場には結構な数のライバルモデルがひしめき合っている。その中でRadeon陣営の大黒柱SAPPHIREが投入した「R9 290X TRI-X OC」は、さすがの完成度。大風量低回転でゆっくり冷やすという「TRI-X」クーラーの性格も、ハイパフォーマンスと静かな環境を同時に手にしたいという、欲張りなゲーマーの要求を満たすものだ。
R9 290Xならではのハイパフォーマンスはもちろん、爆熱を意識させない冷却性能に抜群の静音動作。「R9 290X TRI-X OC」一番の魅力は、その完成されたパッケージングにある |
ほどよくチューンされたバランスの良いスペックに、優秀なクーラーというグラフィックスカードのベストミックスこそが魅力。ユーザー自身によるカスタマイズも可能な「R9 290X TRI-X OC」ではあるものの、その優れたパッケージングを幸い、そのまま“ツルシ”で使う方が向いているかもしれない。とにかく面倒がキライで出来のいいグラフィックスカードが欲しい、それなら初めから全部入り仕様なこのモデルがオススメだ。