エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.314
2014.04.03 更新
文:GDM編集部 池西 樹
ここまでのベンチマークを見る限り、クリーン状態では優れたパフォーマンスを発揮する「Vertex 460」シリーズ。しかし、SSDの快適さに慣れてくると、ついついHDDへのデータ移動を忘れ、いつの間にか容量がひっ迫することも。ずぼらな筆者ではさらに状況はひどく、常に起動用SSDの空き容量が少ない状態で運用を余儀なくされている。そこで、データが大量に書き込まれたダーティ状態でのパフォーマンスについて、最後に確認しておこう。テストには強制的にドライブを断片化する「スペースデデフラグ」を使い、空き領域を断片化。さらにデータ使用率を30%、60%、99%の3段階に調整した状態で測定を行っている。
データ使用率を99%にしたところ。実際にはここまで容量がひっ迫する前にデータを整理したほうがいいことは言うまでもない |
いずれのベンチマークでも、60%まではパフォーマンスにほとんど変化なし。99%では、シーケンシャル書込が約150MB/sec落ち込むが、ここまで容量が少ない状態でサイズの大きなデータを書き込むシーンがほとんどないことを考慮すれば、実運用での影響は非常に小さい。またランダムアクセスにはまったく変化なく、空き容量のない状態でもOSやアプリケーションの起動は、クリーン状態と同等のスピードが期待できる。
「CrystalDiskMark 3.0.3」で、シーケンシャル読込がやや敏感に反応するのを除けば、シングル動作と同様の結果。ダーティ状態で、最も大きな影響をうけるのはシーケンシャル書込で、体感速度に重要なランダムアクセスについては、いずれのベンチマークでもほとんど変化しない。起動ドライブの性能を少しでも上げたいなら、やはりRAID 0環境は魅力的な選択肢となるだろう。
パフォーマンス向けSSDでは初めて、東芝製19nm MLC NANDフラッシュを採用した「Vertex 460」シリーズ。東芝傘下となった新生OCZの今後を占う意味でも、重要な位置づけとなる製品だが、その仕上がりは上々だ。特に体感速度で重要とされるランダムアクセスは非常に高速で、ハイエンドにも比肩する性能は立派の一言。さらにシングルだけでなく、RAID 0環境でもダーティ状態に強く、使用率99%という過酷な環境でも粘れる安定性は、起動ドライブとして十二分にその力を発揮してくれるはずだ。
東芝製NANDフラッシュと「Barefoot 3 M10」の高い親和性を見せつけた「Vetex 460」シリーズ。 |
そして今後のSSDへと目を向けた場合、限界を迎えつつあるSATA3.0(6Gbps)を離れ、M.2.やSATA Expressなど、より高速なインターフェイスへの移行が進むのは明白。そうなれば、すべてのコンポーネントを自社で賄えるOCZの強みはさらに増してくることだろう。