エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.323
2014.05.02 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕/池西 樹(テストセッション)
ヒートシンクの固定が完了すれば、次に冷却ファンを装着する事になる。「NEMESIS」は標準で2基の冷却ファンが付属しており、大風量でヒートシンクを急速に冷却させる。ヒートシンクへの装着方法は、一般的なワイヤークリップ式ではなく、専用の「防振ゴム」を使用(注※国内販売モデルでは、ワイヤークリップが付属)。本体に対してフロート状態になるため、駆動振動を吸収する役割を果たしてくれる。
冷却ファンは付属の「防振ゴム」を使い、ヒートシンクに予め用意された穴にはめ込むように固定する |
ここで少々頭を悩ませるのは、冷却ファンの固定箇所と、ヒートシンクの搭載方向だ。2つのヒートシンクを見比べると、幅が広いタイプは外側に1箇所、幅が狭いタイプは両側に各1箇所の「防振ゴム」固定穴が用意されている。つまり冷却ファンは任意で固定箇所が選べる事を意味する。
冷却ファン固定レイアウト。上段左【その1】、上段右【その2】、下段左【その3】。なおヒートシンクの左右変更、さらにエアフロー方向の変更など、多くのパターンが想定できる |
ここに掲げた搭載パターンは、いずれも左方向がバックパネルI/O(PCケース背面)側としている。一般的な背面排出エアフローレイアウトにすると、当然ながら【その1】のチョイスが最もオーソドックスと言える。やはり【その2】【その3】では、「NEMESIS」本来のパフォーマンスは最大限に発揮できないだろう。ではなぜ「防振ゴム」固定穴が複数箇所に用意されているのだろうか。もっとも可能性があるのは、メモリスロットへの物理的干渉を回避するためと考えるのが一般的だろう。
最もオーソドックスな冷却ファンレイアウト。搭載パターンは複数ある中で、通常チョイスされるのはこのスタイルではないだろうか |
大型ヒートシンクを採用するサイドフロー型CPUクーラーで、最も懸念されるのがメモリスロットへの物理的干渉だ。今回装着テストに用いたのは、Intel LGA1150ソケット対応マザーボードだが、先ほどの搭載パターンは、いずれもメモリスロットへの物理的干渉は避けられない。そこで幅の狭いヒートシンクをメモリスロット側にする固定方法も試してみたが、幅の狭さは物理的干渉の回避には有効ではなく、いずれにせメモリスロットに大きく覆い被さる事が分かった。
左は幅が広い方のヒートシンク、右は狭い方のヒートシンク。いずれもメモリスロット2本分に覆い被さる形でマウントされる事が分かる |
ここまで分かった事をまとめると、Intel LGA1150ソケットのレイアウトでは、冷却ファンの搭載パターンや、ヒートシンクの搭載方向を変更しても、メモリソケットのクリアランスを完全に確保する事はできない。つまり、ヒートスプレッダが高いメモリは、選択肢から外す必要があるというワケだ。
メモリに割り当てられるクリアランスを計測。マザーボード基板からヒートシンクまで約50mm、同じく冷却ファンまでは約35mmといったところ。大型CPUクーラーゆえの悩みはいかんともし難い | |
テストに用意したのは、一般的な高さ30mmのヒートスプレッダ非搭載メモリ。空きスペースは僅かになるため、メモリは冷却ファンを装着する前に挿しておきたい |