エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.323
2014.05.02 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕/池西 樹(テストセッション)
ここからは、実際に「NEMESIS」をPCに搭載して、冷却機器としてのポテンシャルを検証していくことにしよう。テストは、ケースファンなど他のエアフローの影響を考慮し、PCケースには組み込まないバラック状態で実施。またマザーボードには、Intel Z87 Expressチップ搭載のASRock「Z87 Extreme6」、CPUにはIntel Core i7-4770Kを用意し、動作クロックは「定格」の他、「4.20GHz」と「4.40GHz」のプリセットを選択している。なお「NEMESIS」には2つの140mmファンが付属しているが、それぞれ4pin(CPU FAN1)と3pin(CPU FAN2)のCPUクーラー用コネクタに接続し、回転数は「AUTO」に設定した。
まずは冷却機器に最も重要な冷却性能から。ストレスツールは「OCCT 4.4.0」を使い、30分間の高負荷テストを実施。温度の計測には「HW Monitor」の「Package」の数値を採用し、比較対象として定格動作のリファレンスクーラーによる計測も行っている。
単位(℃)室内温度22.5℃ |
まずアイドル時の結果を確認すると、リファレンスクーラーから5℃温度が下がり、負荷のない状態でも一定の効果が認められる。さらに高負荷状態では、リファレンスクーラーに比べて22℃と大幅に下がり、その違いは明らかだ。またオーバークロック状態のパフォーマンスは、消費電力が約30W増える4.20GHzで74℃、約60W増える4.40GHzでも86℃と常用できるレベルに収まり、かなりピーキーなチューニングにも耐えられる冷却性能を備えている。
続いてファンの回転数を確認していこう。数値は「冷却性能チェック」実行時に「HW Monitor」を使い、CPU FAN1/2の値をそれぞれ計測している。
単位(rpm) |
まず注目したいのが定格時のスコア。アイドル時と高負荷時の間で、ほとんど回転数に変化はなく、冷却性能にかなり余裕があることがわかる。定格運用の場合は、リファレンスクーラーをそのまま使用している人も多いと思うが、敢えてハイエンドクーラーを組み合わせ、静音性・冷却性能に余裕を持たせた運用を検討してみるのも面白い。
一方、大幅に消費電力が増えるオーバークロック状態では、回転数も順当に上昇。特に4.40GHz動作では、CPU FAN1/2とも公称最大値である1,000rpmを超え、1,100rpm前後で回転していた。冷却ファンの回転数には、10%前後の遊びが設けられているため、ファンの回転数自体に大きな問題はないが、ヒートスプレッダとの接触にグリスを使用している、Haswellの冷却の難しさを改めて感じさせる結果と言えるだろう。