エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.326
2014.05.14 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
フルタワーPCケース、ZALMAN「ZM-H1」の基本設計からギミックまで詳細は把握できた。ここからはいよいよ実際に組み込みを行い、「組み込まなければ分からないこと」「組み込んでみて分かったこと」をご紹介しよう。
PCケース内部の広さは、マザーボードを組み込む事でおおよそ推し量る事ができる。容積が大きければいいというワケでは無いが、組み込みのし易さに関わるだけでなく、各々の構成パーツ周辺に余裕があれば、熱の影響を受けにくい。さらにスペースが空くことで、排熱効率も向上する事になる。
そこで「ZM-H1」にATXマザーボードを組み込んでみたところ、トップパネルまで約35mm、右サイドは約140mmのスペースが確保できた。
ATXマザーボードをマウントすると、右横には実測140mmもの空きスペースが確保できる。ケーブルマネジメントも自由自在といったところ |
高冷却志向による大型CPUクーラーの選択肢は実に多彩。そこで気になるのが、CPUクーラーの有効スペースだ。今回の搭載テストには、高さ154mmのZALMAN「CNPS9900DF」を用意したが、高さはまだ若干の余裕がある。そこで実際に計測を行ってみたところ、マザーボード基板からは190mm程度ながら、CPUソケットの台座部分を考慮すると、有効スペースは高さ160mm程度と考えた方が無難。あまり無理をしない方がよさそうだ。
テスト装着したZALMAN「CNPS9900DF」を見ると、まだ余裕が感じられる。ソケット上部の距離は十分に保たれているが、高さは無理せず160mm程度のモデルを選択したい |
ここでグラフィックスカードの有効スペースを確認しておこう。「ZM-H1」のメーカー公称値は最大360mm(※スペック表)とされているが、実測では340mm程度だった。どうやら公称値は拡張スロットの段差が考慮されていないようで、ハイエンド系長モノグラフィックスカードを搭載する場合は、注意が必要だ。なお取り外し可能な上段HDDケージが無い状態では、最大約450mmまで空きスペースは拡大する。
ZALMANの公称値はややアバウト。実際の有効スペースは最大約340mm程度だった。なお搭載テストに使用したグラフィックスカードは長さ265mm。つまりHDDケージまでの距離は75mm確保できる計算 |
重量級グラフィックスカードを装着した場合の”歪み”を、側面から支えようというのが「VGA Guide」だ。ZALMANブランドのPCケースではお馴染みのギミックは、「使ってみると良さが分かる」類いの典型。「VGA Guide」自体はABS樹脂製の一見華奢なパーツだが、縦方向の剛性があるため、グラフィックスカードの重量をしっかりと支えてくれる。
ZALMANお得意の「VGA Guide」は、実用ギミックとして完成度が高い。何気ない装備ながら、マザーボードとグラフィックスカードをサポートしてくれる |
「VAG Guide」はグラフィックスカードを支える役割だけではない。穴の空けられた構成パーツ、「Guide Clip」を2つ組み合わせる事で冷却ファンを固定。スポットクーラーとして利用できる。つまり「Guide Clip」は合計3つ付属しているため、1つはグラフィックスカードのサポート用、2つは120mm口径ファンを装着し、スポット冷却用として使用できるワケだ。
「VGA Guide」はスポットクーラーを兼任。デュアルファン仕様の「CNPS9900DF」が、トリプルファンさながらにエアフローを強化する事ができる |
電源ユニット搭載テストには、奥行き140mmのショートサイズモデルを用意。さすがにコンパクトな筐体だけあって、計測するまでもなく空きスペースは十分に確保できている。強いて言えば奥行き180mmクラスのロングタイプになると、側面の横長スルーホールは一部塞がれる事になる。しかし隣には縦長スルーホールがあり、これは問題としない。つまり「ZM-H1」は、電源ユニットを選ばないPCケースであるといえる。
奥行き140mmのFractal Design「Integra R2 750W」をマウントすると、十分過ぎるほどの空きスペースが確保できる。E-ATX対応モデルだけあって、全体の奥行きはゆったりと設計されているワケだ |