エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.328
2014.05.20 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
「VAPOR-X R9 270X」のオーバークロックはベンチマーク上でも良好な効果を出していたが、ここではその影響を確かめてみたい。「3DMark」“Extreme”プリセットの「Combined test」を10分間ループさせ、その際の最大値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時に設定。「GPU-Z 0.7.8」を使用して、GPU温度とファン回転数をチェックしてみることにした。
GPU温度計測 | |
ファン回転数計測 |
ベンチマークテストの結果に比べ、こちらの差はかなりおとなしい。温度においてはほとんど差がなく、ファンも稼働率をほとんど上げることなく冷却を全うしている。事実バラック状態でのテストでもファンの回転数が耳に届くことはほとんどなく、ミドルレンジにしては大きめなクーラーが単なる飾りでないことを示している。静音マシンの構築を考えている人にとっては、嬉しいポイントだろう。
検証の最後に、「VAPOR-X R9 270X」の消費電力をチェックする。動作クロックによる温度やファン稼働率はそれほど違いが出なかったが、消費電力のアップやいかに。計測環境は上記同様、「3DMark」“Extreme”プリセットの「Combined test」を10分間ループさせ、その際の最大値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時としている。
消費電力計測 |
ワットチェッカーによる計測の結果、まず省電力動作となるアイドル時では差がつかず。高負荷時によるリファレンスとの比較でも、オーバークロックされた「VAPOR-X R9 270X」はわずか10Wほど消費電力が上がったにすぎない。メーカーチューンによる消費電力増は、このモデルの場合無視しても構わないだろう。
ハイエンド級までは手が伸びないが、単なるミドルレンジ以上のパフォーマンスが担保に欲しい。そんなニーズにマッチするアッパーミドルのGPUは、守備範囲の広さから2世代後の乗り換えまでを見据えて購入する、息の長いスタイルにも向いている。当然そうとなれば長い付き合いになるところ、昨今の“ゲーミング標準”といえるフルHD解像度を最高設定で遊べるR9 270Xは、そのパートナーとして絶好の選択肢。あまり頻繁に構成を変えたくない、という層にはそのパフォーマンスが頼もしく映ることだろう。
ド安定で超静音、バランスのいいチューニングが施された「VAPOR-X R9 270X」は、R9 270Xグラフィックスの鉄板モデルだ |
そしてそんなR9 270Xグラフィックスカードの中から、今回SAPPHIREの「VAPOR-X R9 270X」を取り上げた。「VAPOR-X」クーラーの静粛動作と高冷却仕様は、ゲーミングマシンとの相性もバツグン。バランスのよいメーカーチューンも相まって、長く付き合える妥協のないミドルレンジモデルに仕上がっている。同クラスでは比較的価格帯の高めなモデルではあるものの、その完成度の高さはハイエンドに引けをとらない満足感を味あわせてくれるハズだ。