エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.333
2014.06.11 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
電源ユニットには奥行き140mmのショートタイプZALMAN「ZM500-LE」をチョイスした。「ZM-M1」の電源ユニット搭載スペースは、公称奥行き200mmとされているため、60mm程度の余裕ができる計算。実際にマウントしてみたところ、問題無く装着できた。隣接する5.25インチオープンベイ+2.5/3.5インチ共用リムーバブルベイとの間には、実測約80mmの空きスペースができ、非プラグインタイプの「ZM500-LE」で余ったケーブル類を詰め込むだけの場所も確保できる。
ZALMAN「ZM500-LE」(奥行き140mm/非プラグイン)を難なくマウント。予めフレームにネジ留めできるため、電源ユニット本体を、狭いスペースに無理矢理押し込むといったイメージは一切ない。マウントテストでの空きスペースも十分で、額面通り奥行き200mmサイズの電源ユニットも搭載できる事が分かった |
トップ面に用意されたラジエター搭載スペースに、240mmサイズラジエターをマウントしてみた。既に解説済みだが、この面にはマニュアルに記載はないものの、120mm口径ファンのみならず140mm口径ファンが2基搭載できる。
シャーシ側トップ面から嵩上げされたラジエター搭載スペースは広く、ゆったりとマウントできる。またネジ穴はいずれも皿もみ加工が施され、ネジのヘッド部が飛び出すこともない。
240mmサイズラジエターを固定してみたところ、ラジエターが小さく見えるほど前後左右にはゆったりとスペースが割かれている事が分かる | |
いかにも水冷構成が想定されたトップデザイン。25mm厚ファンを装着しても内部に大きくはみ出す事もなく、まったく違和感がない。せっかくの設計だけに、是非水冷をチョイスして欲しい |
最後にケーブルマネジメントを再チェックしておこう。先ほどマザーボードトレイ横に設けられた、スルーホールをご紹介したが、これらを上手く使う事で、省スペースPCケースでありながら、思いの外コネクタに負担が掛かる事なく配線する事ができた。また、余ったケーブル類を置くスペースも十分で、マザーボード水平マウントの恩恵はなかなかのものだ。
マザーボードトレイやシャーシに設けられたスルーホールを使い、デバイスと電源ユニット間をつなぐケーブルを上手に配線。省スペースPCケースだけにタイラップ等を駆使し、特に冷却ファンにケーブルが干渉しないように配慮する必要がある | |
右側面下段エリアは、余ったケーブルが置き放題。実測で幅約360×高さ約120mmのスペースは貴重であり、有効に活用したい |
Mini-ITXだからといってCube型に留まらず、ミニタワー型を選んだ「ZM-M1」。恐らくMicroATXなら窮屈であろうボディサイズから、第一印象に「中途半端」と感じた人は少なくないだろう。外観だけを見るとどっちつかずのMini-ITXケース。だがサイドパネルを取り払いじっくり内部を観察すると、上下2段構造の割り切り方はすこぶる使い勝手がいい。
近頃は構成パーツをエリア毎にパーティションで区切るスタイルがにわかにブームだが、奇をてらっているワケでは決してない。ミドルタワーPCケースの主流が、いつしか電源ユニットボトムレイアウトになったように、PCケース内部の「分割化」は、小型PCケース(Cube型も含む)の主流になっていくだろう。それは現時点、このスタイルを否定する材料が見当たらないからだ。
ともあれ、Mini-ITX対応としては中型な「ZM-M1」は、おそらく爆発的に売れるのではなく、徐々に売れていくPCケースのたぐいではないだろうか。実際に使用感が口コミで広がり、いつの間にか選択肢のひとつに顔を出す。息の長いPCケースになるには、そんな素質が必要なのかもしれない。