エルミタ的一点突破 Vol.33
2014.06.19 更新
文:GDM編集部 池西 樹
外観のチェックが終わったところで、ここからはサイズ「小太刀」の冷却機器としての実力を、各種テストにより明らかにしていこう。今回は比較対象としてIntel Core i7-4770Kのリファレンスクーラーを用意。またTurboBoost機能はOFFにして測定を行っているため、他のレビューとは同一の比較ができない点には留意して欲しい。なお使用機材、およびレギュレーションについては以下を参照のこと。
冷却テストレギュレーション |
---|
1)マザーボードはケースに組み込まない状態で計測する 2)検証にはストレスツール「OCCT 4.4.0」を使用。高負荷状態30分経過時の温度を計測 3)温度計測には「HWMonitor」を使用。数値は「Package」最大温度 4)騒音値は、冷却ファンから30cmの距離で計測 |
CPU温度(室内温度25.4℃/3.50GHz/1.012V) |
省電力機能が働くアイドル時はともかく、高負荷時は92℃まで温度が上がり、やや運用に不安が残るリファレンスクーラー。一方、「小太刀」はアイドル時36℃、高負荷時でも78℃までしか上がらず、冷却性能は上々だ。厚さは約16mmも薄くなっているにも関わらず、温度は14℃低下し、ヒートパイプや銅製受熱ベースの効果がしっかりと結果に表れている。とりわけ「小太刀」が対象としているコンパクトPCでは、内部の冷却が難しくなることから、CPUクーラー交換による安定性への影響は大きいと言えるだろう。
冷却ファン回転数(室内温度25.4℃/3.50GHz/1.012V) |
続いて「CPU温度計測」時の冷却ファンの回転数を確認していこう。アイドル時は1,181rpm前後で動作しており冷却性能には余裕がある。一方、負荷がかかると一気に回転数が跳ね上がり、最高で3,341rpmを計測。搭載ファンの回転数は公称800±30%~3,300±10%rpmであることを考慮すれば、「小太刀」の冷却性能は、TDP84WのLGA1150やTDP95WのSocket FM2+クラスがおそらく限界。あらかじめLGA1366/2011に対応していない事がうなずける結果だ。
最後にデジタル騒音計を使い、動作音を確認しておこう。測定は回転数テストと同じく「CPU温度計測」時に実施。なお室内の暗騒音値は32.4dBAだった。
騒音値(室内温度25.4℃/3.50GHz/1.012V/暗騒音32.4dBA) |
アイドル時はリファレンスクーラーとほぼ同等の騒音値。バラック状態でもノイズが気になることはなく、静かに淡々と動作する。ただし回転数が上がる高負荷時は45.7dBAまで上昇し、高温域の風切音が耳につく。さすがにPCケースにいれても完全に封じ込めるのは難しい印象で、人によっては音が気になるだろう。とは言え、80mmファンによる冷却に静音性まで求めるのは少々酷というもの。ここは小型化とのトレードオフとして受け入れる必要があるだろう。