エルミタ取材班が行く
2014.08.04 更新
文:GDM編集部 Tawashi
神奈川県綾瀬市にある「サードウェーブデジノス綾瀬事業所」は、日本通運綾瀬物流センター内にある。鉄骨造3階建で、敷地面積は約22,000平米。綾瀬事業所に勤務するスタッフは、約200名だ |
「サードウェーブデジノス綾瀬事業所」(神奈川県綾瀬市早川2696-1、以下:綾瀬事業所)のある日本通運綾瀬物流センターは、日本アイ・ビー・エム株式会社の専用物流拠点(現在はない)として2002年に設立。その後、2012年に千葉県松戸市(馬橋)からサードウェーブデジノスが移転し、2013年には通販部門や上海問屋部門などが集結。今では、サードウェーブグループにおける、生産・流通の一大拠点として、重要な役割を果たしている。ちなみに、盆暮れ正月の渋滞情報でお馴染み、東名高速道路の綾瀬バス停からは歩いて5分という場所だ。
見学している最中も、大型トラックの出入りが絶えない。最大で11トントラックが48台まで、同時に搬入搬出作業を行うことができるという |
「綾瀬事業所」のある綾瀬についても簡単に確認しておこう。綾瀬市は、神奈川県中部にある人口約83,000人の県内では最も新しくできた市。市内の約18%が在日米軍と海上自衛隊の厚木基地になっているほか、東海道新幹線が通過してはいるものの、鉄道の駅はない。そんな綾瀬市だが、最近では圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の開通により埼玉をはじめとした北関東エリア、その先の東北方面へのアクセスが向上。羽田空港や横浜港といった海外からの輸入拠点も近くにあることから、首都圏エリアにおける重要な物流拠点として注目されている。
綾瀬市の場所。最近では、首都圏エリアにおける重要な物流拠点として外資も積極的に進出しているとか。今後も流通面においては、注目のエリアになっていくとされる |
「サードウェーブデジノス綾瀬事業所」を分かりやすく解説してくれた、サードウェーブデジノス取締役社長の松野康雄氏。非常に力強い語り口で、話にグイグイと引き込まれていく | サードウェーブグループの全体図。製造を行う株式会社サードウェーブデジノスと販売を担う株式会社ドスパラが両輪となり、グループを牽引している |
見学会のスタートに先立ち、サードウェーブデジノス取締役社長の松野 康雄氏が登場。「綾瀬事業所」の取り組みを解説してくれた。事業所が持つ機能は、「製造、生産管理」「製品サポート」「倉庫」「配送センター」の4つ。中でも強調されたのが、部材の入荷から、梱包・出荷、在庫管理までを一括して行うワンストップオペレーションだ。薄利多売の厳しいPC市場で勝ち残るため、すべてを一元管理。究極のサプライチェーン・マネジメントを実現したのが「綾瀬事業所」だという。
綾瀬事業所にグループのほぼすべての業務を集中。海外生産を凌ぐ製造原価と物流コストの極小化を実現した |
その結果、大手PCメーカーよりも在庫回転率を大幅に短縮することに成功。サードウェーブでは、店舗以外にBTOの在庫は存在しない。すべて、綾瀬工場一極生産の100%“Made in Japan”で、これこそが真のBTOだと自負している」と述べるとともに、実際の製造プロセスについても解説した。
部材入荷から商品が出荷されるまでの流れ。すべては綾瀬事業所で行われるワンストップオペレーションが特徴だ |
100%受注生産のPCは、受注確定順に生産指示。ライン方式とセル方式の使い分けをはじめとした、生産方式の向上を図ることで短納期化を実現。ほぼ100%納期通りに出荷するというから驚きだ。また「残念ながらPC生産において初期不良をゼロにすることはできないが、極力抑えることはできる」として、専用ソフトウェアの導入とテスト工程を合体した最終テストプロセスを構築。高い信頼性を実現しているという。
最短で当日出荷。カスタマイズモデルでも2日で出荷を謳うドスパラのPC。綾瀬事業所に業務を集約したことで短納期化を実現した |
「この事業所は私が魂を込めている。そして全ては、お客様のもとへ、いかに安く速くお届けできるかというのが使命だと思って日々取り組んでいる。今回の見学会では、その仕組みをじっくりと見ていってほしい」と語り挨拶を締めくくった。
サードウェーブデジノス取り扱いのPCブランドは全部で3シリーズに分けられる。いずれのモデルも綾瀬事業所で製造され出荷されていく |