エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.364
2014.10.16 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
サイコム「Silent-Master Pro Z97」 基本構成売価109,800円(2014年10月現在) 製品情報(株式会社サイコム) |
「Silent-Master Pro Z97」の目指した地平は、冒頭述べた“究極の静音”にある。その実現にあたり、サイコムは自作マニアから高い支持を受ける空冷最強ブランドNoctua(本社:オーストリア フッテンガッセ)と手を組んだ。CPUクーラーにナローヒートシンクデザインのサイドフローモデル「NH-U12S」を採用するほか、ケースファンもすべてNoctua製が搭載されている。そもそも同社の製品は優れたパフォーマンスを証明するプレミアムな価格設定も相まって、自作派にとっては憧れと言っていい高級パーツ。BTOマシンの構成に選ばれることは極めて珍しく、まして標準構成で搭載されるということは、およそ聞いたことがない。
静音・冷却マニアから高い支持を受ける、Noctua製のCPUクーラーとケースファンを標準搭載。それ以外の騒音になりうるパーツもセミファンレス仕様に揃えた |
さらにCPUクーラーやファンのみならず、トータルパッケージでの静音性を獲得するため、“騒音源”になるパーツ構成にもこだわった。グラフィックスにはNVIDIA GeForce GTX 750 Ti搭載カードASUSTeK「STRIX-GTX750TI-OC-2GD5」、電源ユニットには80PLUS GOLD認証を取得したCORSAIR「RM650」をチョイス。この2製品はいずれも一定の負荷以下ではファンが回転しない、セミファンレス仕様のモデルという共通点がある。
そしてこれらの構成を、ミドルレンジ向けでは屈指の静音設計を誇る密閉型PCケースAntec「P100」に詰め込んだ。高い冷却パフォーマンスの確保に加え、騒音の発生と漏洩をともに最小化しようという、サイコムの狙いが見えてくるだろう。
その静音動作はホンモノか、公的第三者機関の無響室にて静音検証を実施。きわめて残響の少ない空間で、マシンの発する音のみを忠実に測定できる |
また、サイコムの静音へのこだわりはパーツ構成だけに留まらない。今回「Silent-Master Pro」シリーズをリリースするにあたり、同社は独自に製品を公的第三者機関に持ち込み、無響室を利用した徹底的な静音検証を行っている。Noctua製クーラーはじめ、選び抜いたパーツ構成がどれほどの効果を生んでいるか、客観的なデータとして証明しようという試みだ。
組み上げたマシンの50cm四方にマイクを設置し、標準構成と比較。Noctua製クーラーへの換装はどの程度効果があるだろうか |
検証にはCPUをオプション構成のIntel Core i7-4790Kにカスタマイズしたマシンを用意し、本体から50cm四方にマイクを設置。負荷テストを実行して標準構成(純正CPUクーラー、ケース標準ファン)との比較を行っている。結果は高負荷時において、騒音値が8dB低下した20.4dBを記録。一般に“ささやき声”や“木の葉のふれあう音”程度とされる範囲に留まっており、アイドル動作との比較でも2.2dBしか上昇していない。さらにCPU温度も高負荷時で26℃低い67℃を記録するなど、静音・高冷却を地で行く構成が完成した。