エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.367
2014.10.29 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
ハードウェアベンチはここまでで一段落。本項ではベンチマーク中における「Twin Frozr V」クーラーの動作をチェック、GPU温度とファン回転数からその挙動を読み取ってみよう。計測にあたっては、「3DMark“Ultra”」プリセットを10分間ループさせた際の最大値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時と設定している。
GPU温度計測(℃) | |
ファン回転数計測(rpm) |
アイドル時はファンレス動作ながら40℃台で安定しており、高負荷時でも70℃を上回ることはなかった。さすがにベンチマーク中はほぼ常時ファンが回転していたものの、ループの合間はファンが停止するなど、メリハリのきいた動作はセミファンレス仕様ならではだ。ファン回転数もあくまで必要に応じて上げるというコンセプトのため、騒音の発生も必要最小限。ユーザーによる手動オーバークロックなど、特定の場合をのぞいてはファンの回転を意識するシーンはあまりないかもしれない。
最後に動作クロックの違う各モードごとの消費電力をチェックして、「GTX 980 GAMING 4G」のテストを締めくくろう。計測には先ほど同様、「3DMark“Ultra”」プリセットを10分間ループさせた際の最大値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時に設定。ワットチェッカーを使用して計測を行った。
消費電力計測(W) |
アイドル時はどのモードでも省電力動作に移行することから、85Wと横並びに。高負荷時においても最大で300以下と控えめで、ハイエンドグラフィックスとしてはさすが「Maxwell」といえるワットパフォーマンスを示している。そしてここで注目したいのが、最大消費の「OC Mode」から25W以上差をつけている「Silent Mode」だ。タスクによってはオーバースペックになりがちなハイエンドモデルだけに、使いドコロを見極めて積極的に活用したい。
以前に同じ「Twin Frozr V」搭載モデルをレビューしていただけに、いい意味で裏切られた検証になった。第2世代「Maxwell」で新潮流となっているセミファンレスクーラーだが、「GTX 980 GAMING 4G」の搭載する(いわば上位版の)「Twin Frozr V」は、そのカテゴリにおける完成版といえる高性能モデルだ。単に低負荷時にファンの回転を止めるだけにとどまらず、それぞれのファンを独立して動かし、必要な箇所のみを狙い撃ちにして冷やす。自立思考で最適な冷却を行うという、その頭脳派なコンセプトには感心させられた。ハイエンドグラフィックスで静音志向を追求するなら、最適な1枚になるだろう。
一定温度でファンが停止、動かす際も独立制御可能。自立思考の頭脳派クーラー「Twin Frozr V」の出来栄えは最高だった。あとは制御ユーティリティ次第で“万能”に手が届くのだが |
とはいえ、にわかに台頭するハイエンドかつセミファンレスという仕様に、密かに眉をひそめるユーザーもいることだろう。特に冷却に強いこだわりを持つ向きには、たとえ低負荷でもある程度はファンが回っていてほしい、あるいは必ず一定以下の温度で運用したいなど、ファンレス動作とは逆向きの需要もあるハズだ。
その点で「GTX 980 GAMING 4G」は、ファンを個別制御するユーティリティを用意してくるなど、冷却にうるさいユーザーへの備えも万全。現在は設定が多少大味であるのは確かだが、今後ソフトウェア面の充実にも大いに期待したい。