エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.371
2014.11.15 更新
文:フリーライター・石川ひさよし
「WINDFORCE 600W」で新たに追加された技術は主に3つだ。ファンブレードのデザインを改めることで風量を23%向上させたり、通常のヒートパイプに改良を加えた「コンポジットヒートパイプ」によって熱輸送の効率を向上させたり、ヒートシンクのフィンのデザインを改めることで空気抵抗の低減や放熱効率の向上を図っている。
それぞれ説明していくと、まずファンブレードに関しては、「3Dデザイン」と呼ぶブレードに突起を加えるケースファンなどでも人気の手法によって、空気を整流する効果を狙っている。
フィンに設けられた突起によって空気の流れをよりスムーズにし、風量の増加を実現している |
次のコンポジットヒートパイプは、通常のヒートパイプに「ウィック」の層を加えたのが特徴だ。一般的なヒートパイプは、冷却液を真空パイプの中に封じ、冷却液が熱によって蒸発、冷却されてまた液体に戻るという循環を行っている。ウィックは、いわば綿のような構造をしたものだ。綿を水の上に置くとスムーズに水が吸収されるが、その際、水面よりも高い位置まで吸収してしまう現象を「毛細管現象」と呼ぶ。コンポジットヒートパイプはこれをヒートパイプ内で利用し、熱輸送をスムーズに、そして設置する方向を選ばない熱輸送を実現している。
ヒートパイプの内部に毛細管現象を起こすための「ウィック」を追加し、スムーズな熱輸送を実現している |
最後のフィンデザインは、ヒートシンクのフィンの高さを1列毎に変えたデザインで、エアフローを多重化すると説明されているが、おそらくは渦流を抑えるのではないかと考えられる。フィンによる冷却は、フィンとエアフローがいかに接触するかが重要であり、それをスムーズに行う効果を狙っているものと見られる。
フィンの高さに高低を設け、フィンからの放熱効果の向上を実現している |
また、こうした新たな技術のほか、「トライアングルクール」のように、従来からの冷却効率向上の技術も引き続き採用されている。「トライアングルクール」は、三角形(実際には台形が近い)のような構造をしたフィンのベースで、ここでエアフローがカードの上下に振り分けられ、乱気流を抑えることが出来ると言う。