エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.371
2014.11.15 更新
文:フリーライター・石川ひさよし
ここからは、クーラーを取り除いた基板部分から、「GV-N980G1 GAMING-4GD」の独自の設計部分を確認していこう。一般に、ビデオカードの基板にはチップ製造メーカーによる「リファレンス基板」があり、このまま販売するものもあるほか、クーラーのみを交換したもの、そして基板も独自に設計したものがある。「GV-N980G1 GAMING-4GD」は独自設計した基板に、独自のクーラーを組み合わせたモデルに相当する。
ここからは「GV-N980G1 GAMING-4GD」の独自設計基板をチェックしていく |
「GV-N980G1 GAMING-4GD」は、高いオーバークロックを実現しているが、それにはそのオーバークロックを可能とする電源設計が重要だ。分かりやすいところでは、補助電源コネクタがリファレンス基板の場合はPCI-Express 6ピン×2本のところ、8ピン×2本に変更されている。PCI-Express 6ピンは1本で75W。これが8ピンになると1本で150Wの供給が可能でありこれが2本で300W。PCI-Express x16スロットからの75Wを加えれば375Wまで対応できる計算になる。
合わせて、GPU電源回路のフェーズ数を、リファレンス基板の5フェーズから8フェーズに拡大している。マザーボードと同様に、フェーズ数が多いほど、大電力が供給可能であり、あるいは1フェーズあたりの負荷を減らすことで電力のロスを抑えたり寿命を延ばすといった効果が見込める。
「GV-N980G1 GAMING-4GD」は、ディスプレイ出力のデザインにも特徴がある。GeForce GTX 980のリファレンス基板のディスプレイ出力端子レイアウトは、DisplayPort×3、HDMI(2.0)×1、Dual-Link DVI-I×1という設計だ。これに対し「GV-N980G1 GAMING-4GD」は、DisplayPort×3、HDMI(2.0)×1、Dual-Link DVI-I×1に加え、DVI-Dを追加しているのが特徴だ。GIGABYTEではこれを「FLEX DISPLAY」と呼びアピールしている。
一応、GeForce GTX 980の制限として、最大画面出力は4画面までとなる。通常なら、DVI-IとHDMI、DisplayPortのうち4系統の組み合わせでこれを実現する。一方で、「GV-N980G1 GAMING-4GD」は、DVI-IとDVI-D、そして残る2画面をHDMIとDisplayPortという組み合わせで構築することが可能だ。少し古いディスプレイの場合、DVIとD-Subしか搭載していないということもあるが、これらの有効活用ができるわけである。とくに、現在既にDVIでマルチモニタを構築している方であれば、スムーズな移行ができる。また、最大の4画面まで拡張しようという際、DisplayPortをサポートするディスプレイは、とくに低価格なモデルに関して言えば少数派だ。仮にHDMI端子のディスプレイだったとしても、DVI→HDMIの変換ケーブルは比較的安価に入手できる。こうした点でもマルチモニタ環境構築のコスト抑制が可能なわけだ。
2系統のDVIを用いてマルチモニタが構築できる。過去のディスプレイやケーブルを使いまわすことができ、コストを下げることができる |
DVI-Dを搭載するにあたり、この端子はDisplayPort×2とグループとなって、DVI-Dを使う場合はDisplayPort×2が利用不可に、DisplayPort×2を使う場合はDVI-Dが利用不可となる。つまり、DVI-I、DVI-D、DisplayPort×2という組み合わせは不可能だ。DisplayPortをサポートしているディスプレイのほとんどがHDMIも備えているので実質的な問題はほぼゼロだが、念のため気にとめておきたい。
GeForce GTX 980には最大4画面という制約があるため、「GV-N980G1 GAMING-4GD」もそれを間逃れることはできない。ただし、DVI-Dと排他となるのはDisplayPort×2で、組み合わせの柔軟さには最も影響が少ない選択だ |
なおDisplayPort×3とHDMI(2.0)の組み合わせで、GeForce GTX 980のウリでもある4Kの4画面も可能。4Kディスプレイ側はHDMI(2.0)の採用がGPUよりも先行している格好(ファームウェアの更新が必要な場合もあるので注意)なので、よほど初期の4Kディスプレイでない限りは大丈夫だろう。この点で、ゲームだけでなく、デザインや証券業務、帳票などのビジネス用途でのビデオカードとしても注目だ。