ひらめいたら「アイデアバンク」で共有

• 編集部：
  Fractal Designは何名くらいのスタッフが在籍しているのでしょう。また、そのうち製品開発に携わっているスタッフは何名ですか。
• Hannes氏：
  全て合わせると45名です。そのうち、スウェーデン本社の4名と台湾支社の1名を中心に製品開発を行っています。開発チームは台湾支社のスタッフも含めて、5人全員がスウェーデン人ですね。
• Ingemar氏：
  ただ、実際に製品開発を行う際には、さまざまな部署のスタッフが集まって行います。それに加えて、販売店や代理店、そして一番重要なユーザーの意見もフィードバックしますので、製品開発には皆が携わっていると考えています。
• 編集部：
  PCケースメーカーで気になっている存在などありますか。
• Ingemar氏：
  もちろん、相手を研究すると言う意味では、市場で人気のPCケースを調べる事があります。フットボールの試合と同じですよ。試合の前には必ず相手の研究をしますが、最後に一番重要なのは自分のチームをよく知る事。どうすれば、自分たちが100％の力を出し切る事ができるのかを考える。相手の研究よりは、そちらを重視しています。
• 編集部：
  先ほど開発スタッフは5名というお話でしたが、Hannesさん自らが新製品のアイデアを出す事はあるのですか？
• Hannes氏：
  もちろん、ありますよ。それもたくさん（笑）。
• 編集部：
  どんな時にアイデアを思いつくのでしょうか。
• Hannes氏：
  人と話している時が多いかもしれません。後はPC製品と関係ないものから、影響を受けることも多いです。それは自然の風景だったり出来事だったり、またはオーディオ機器を眺めていた時だったりとさまざまですね。
• 編集部：
  実際に思いついた後ですが、どのように浮かんだアイデアを形にするのですか。
• Hannes氏：
  開発スタッフと共有している「アイデアバンク」があります。そこに、思いついたアイデアだけではなく、気になった画像や撮影した写真、WEBの記事等を保存しておきます。もしかしたら、1年後の製品開発に役立つかもしれないですから。

開発に2年かかった最新作「Define R5」

• 編集部：
  実際の開発から発売までの期間はどの程度かかるものでしょうか。
• Hannes氏：
  およそ9カ月～2年といったところでしょうか。例えばですが、「Define R5」には2年かかっています。
• Frances氏：
  おかげさまで「Define R4」は世界的なヒットとなりました。ただシンプルなものほど、改良・改善が難しいことはありません。それゆえ、後継モデル「Define R5」の開発は非常に難航しました。
• 編集部：
  「Define R4」がヒットした理由は、どの辺りにあると考えていますか。

日本でもロングセラーを記録した「Define R4」。Fractal Designの名を一躍、人気ケースメーカーの座へと押し上げた主力製品だ

• Frances氏：
  先ほどミニマリスト（最小限主義者）という言葉が出てきましたが、「Define R4」はまさにそれを体現したモデルと言えます。ルックスは非常にシンプルかつ無駄がないデザインで、日本のユーザーの好みにぴたりとマッチしたと感じています。
• 編集部：
  では「Define R5」の開発にあたって、こだわったポイントはどこでしょうか。

2年の開発期間を経て、ついに登場した「Define R5」。詳細についてはレビューを参照してほしい

• Hannes氏：
  いろいろありますが、まず開発するに当たり「DEFINE XL R2」と「Define R3」、「Define R4」を並べてよく見比べてみました。そこでまず気付いたのが、「DEFINE XL R2」や「Define R3」の頃には無かった水冷ユニットの需要が「Define R4」の頃から変わり始め、今では重要な要素になっているという点です。

遮音素材を装備したフロントドアは、マウンティング位置の調整により、左右両方の開閉が可能。またHDDゲージ全て着脱が可能。ちなみにフロント部には最大360mmのラジエターも装着可能だ