- Hannes氏:
その結果「Define R4」ではトップに最大280mmまで搭載可能だったラジエターを、「Define R5」では420mmまで対応させたのをはじめ、フロントは最大360mm、リアは140mm、ボトムは240mmまで搭載できるようにしました。そして、冷却ファンも「Define R4」から変更し、新たに効果的なエアフローを確保しつつ低騒音を実現した「Dynamic GP14」という140mmファンを2基、フロントとリアに標準搭載しています。
- Frances氏:
さらに、日本も含めた多くのユーザーからのフィードバックにより実現したのが、フロントパネルのドアを両開きに対応させた点と、マザーボード背面のケーブルマネージメント用スペースにマジックテープ式のケーブルホルダー「Velcroストラップ」を備えた点です。
そのほか、ドライブベイゲージですが、5.25インチオープンベイと2ユニットに分れる2.5/3.5インチシャドウベイは全て取り外すことができ、自由に組み合わせることができます。これにより、ユーザーは好みのエアフロー環境を作り出すことができます。そして底面のダクトフィルターですが、設置後のメンテナンスを考えて、フロント側から取り出せるようにしました。
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設置場所を選ばない「デュアルサイドマウンティング」と呼ぶフロントパネルドアの両開き対応は重要な変更点。底面ダクトフィルターはフロント方向に引き出せるため、PCケースを動かさずに着脱できる |
- Hannes氏:
おっと忘れるところでした(笑)。密閉性を高める「ModuVent™」(トップパネル装備のフタ)ですが、全て取り付けた際にはファングリルが見えないようにスッキリとしたデザインに仕上げています。最後にサイドパネルですが、素早く開閉が行える「クイックレリーズ機構」を採用しました。メンテナンス性も向上するこの機能は、非常に好評を得ています。
- 編集部:
Fractal DesignのPCケースに共通して言えることですが、市場売価が300ドルを超えるようなモデルはありません。「Define R5」も国内では想定売価が税抜17,000円です。売価設定について考えをお聞かせください。
- Ingemar氏:
特別意識して安くしているつもりはありません。高品質なものを安くではなく、あくまで適正な売価で販売したいと常に考えています。
- 編集部:
先日、オールインワン水冷ユニット「Kelvin」シリーズが発表されました。初のCPUクーラーということになりますが、さらに空冷モデルの登場を期待しているユーザーも多いと思います。
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日本でも販売がスタートした「Kelvin」シリーズ。「Define R5」と組み合わせて運用したい、Fractal Design自慢のオールインワン水冷キットだ |
- Hannes氏:
もちろん考えてはいますが、今のところ具体的に発売する予定はありません。まずは「Kelvin」シリーズに注力しつつ、CPUクーラーは2015年も水冷が中心になるかと思います。
- 編集部:
最後に日本のユーザーへ一言お願いいたします。
- Hannes氏:
まずは「いつもFractal Designの製品を応援してくれて、ありがとうございます」とお礼を言わせてください。製品の開発には、ユーザーの意見が欠かせません。どのような形でもいいですから、日本のユーザーの意見をどんどん我々に伝えてください。必ず次の製品開発に役立てるようにします。
高い支持の理由は、北欧生まれのFractal Desingと日本文化の共通点
2007年にスウェーデンで誕生したFractal Design。短期間の内に人気ブランドのひとつに数えられるようになったその背景には、「スカンジナビアデザイン」というキーワードが常にある。北欧デザインとも言われるシンプルで飽きがこないそのスタイルは、自然と日本国内市場にも受け入れられ、「Define」シリーズの人気は今なお高い。
今回は短い時間ながら、非常に密度の濃い話を聞くことができた。その中で特に感じたのは、Fractal Designが支持される理由が単に「シンプルなデザインが受け入れられたから」、だけではないということ。それは「Less is more」(より少ないことは、より豊かなこと)をモットーに、「忍耐強く完璧なものを常に追及する姿勢」という、日本人が持つモノ作りへの哲学と、彼らが目指す哲学の「共通点」にあった。
新作ミドルタワーPCケース「Define R5」は、無駄のない外観スタイルには大きく手を加えず、それでいて内部設計は前作「Define R4」から妥協しない改良をくり返し、実に2年もの時間を費やしている。その進化は、確実に日本の自作市場に受け入れられるだろう。
協力:Fractal Design
株式会社アスク