エルミタ的一点突破 Vol.35
2015.01.06 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕 / 池西 樹(テストセッション)
ここからは「NH-D9L」および「NH-U9S」の冷却機器としての実力を、各種テストにより明らかにしていこう。CPUにはDevil’s Canyonの上位モデルIntel Core i7-4790Kを用意。ファンの構成は標準状態(以降Normal)に加え、付属の回転数減速ケーブル「Low-Noise Adaptor」(以降L.N.A)を使用した場合と、「NF-A9」を増設して、デュアルファン構成(以降Dual)とした場合の3種類にて計測を行っている。なお使用機材、およびレギュレーションについては以下を参照のこと。
標準状態では、アイドル時約1,300rpm、高負荷時は約2,000rpmまで回転数が上昇する | |
L.N.Aを使用すると、アイドル時は約1,200rpm、高負荷時でも約1,600rpmで回転数が頭打ちとなる |
冷却テストレギュレーション |
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1)マザーボードはケースに組み込まない状態で計測 2)検証にはストレスツール「OCCT 4.4.1」を使用。高負荷状態30分経過時の温度を計測 3)温度計測には「HWMonitor」を使用。数値は「Package」の最大温度 4)騒音値は、冷却ファンから30cmの距離で計測 |
CPU温度(室内温度17.4℃) |
アイドル時の温度を確認すると、NormalとL.N.Aで22℃、Dualでも21℃で、冷却性能は完全に飽和している印象。また高負荷時は、Normalで70℃、回転数の低いL.N.Aでも74℃までしか上がらず、92mmファンのコンパクトモデルとはいえ冷却性能は非常に優秀だ。デュアルファン構成による性能向上も見込めることから、ケース内のエアフローが悪い環境でも冷却性能が不足することはないだろう。
冷却ファン回転数(室内温度17.4℃) |
アイドル時の回転数はL.N.Aで約1,200rpm、NormalとDualでも約1,300rpmで安定して推移。ちなみにWebブラウジングやデータの管理、オフィスアプリケーションのようなライトな処理では、回転数が上がることはなかったことを付け加えておく。
続いて高負荷時の回転数を確認するとL.N.Aが1,446rpm、Normalが1,654rpmで、約200rpmの差がついており、減速ケーブルの効果がハッキリと表れている。またDualでは冷却性能が向上した分、Normalより若干ファンの回転数が抑えられている点にも注目したい。
騒音値(暗騒音30.1dBA) |
アイドル時は、NormalとL.N.Aが33dBA前後、ファンを2基搭載するDualでは34.3dBAと若干大きくなっているが、耳に聞こえてくる感覚に違いはない。また高負荷時はL.N.Aで34.9dBA、NormalとDualでも37dBA前後までしか上がらず、静音と言って差し支えないレベル。PCケースに収納してしまえば、完全に抑えこむことができるだろう。
高負荷状態30分経過時のポイント別温度計測結果 ※カッコ内は反対面 |
次に非接触型デジタル温度計による、ポイント別温度について確認しておこう。温度が最も低かったのは、ヒートシンク上部右側面で22.9℃。熱源から最も遠く、冷却ファンの風が吹き付ける箇所であることから、妥当な結果。基本的に熱源およびヒートパイプから遠くなるに従って温度も低下しており、CPUの熱をヒートパイプで吸収し、効率よくヒートシンク全体に拡散できているようだ。