エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.396
2015.02.17 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕 / 池西 樹(テストセッション)
Kelvin S24(型番:FD-WCU-KELVIN-S24-BK) 市場想定売価税抜19,800円(2014年12月発売) 製品情報(Fractal Design)(株式会社アスク) |
「Kelvin S24」(型番:FD-WCU-KELVIN-S24-BK)はFractal Design初となる、オールインワン水冷ユニット「Kelvin」シリーズに属する240mmサイズラジエターモデル。この他に120mmサイズラジエターの「Kelvin T12」(型番:T12 FD-WCU-KELVIN-T12-BK)、さらに360mmサイズラジエターの「Kelvin S36」(型番:FD-WCU-KELVIN-S36-BK)も同時にリリースされ、「Kelvin」ファミリーは合計3モデルがラインナップする。
最近のPCケース事情を見ると、市場に投入される新型モデルのほとんどが、水冷ユニット導入を想定して設計されるようになった。トップパネル周辺クリアランスの確保や、ドライブベイレイアウトの見直しにより、大型ラジエター採用水冷ユニットの種類は急速に増えている。選択肢が増えるのは良い事だが、一方で空冷ほど外観に特徴が出てこない水冷ユニットは、どれをチョイスすればいいのかが分かりにくいこともしばしば。つまりメーカーがアピールする、表には出ない独自の設計や構造を把握しておく事が重要というワケだ。オールインワン水冷ユニットカテゴリでは後発となるFractal Designの「Kelvin S24」は、どんな特徴を持っているのだろうか。
360mmサイズラジエターの「Kelvin S36」(左)と120mmサイズラジエターの「Kelvin T12」(右)。いずれも2014年12月に国内販売が開始されている |
「Kelvin S24」を語る上で重要なキーワードが2点ある。
まず「Kelvin」シリーズはDIY水冷で著名なドイツのメーカーAlphacool社との共同開発モデルであること。冷却に妥協しない、世界中の自作PCエンスージアストから高く支持される水冷専業メーカーとのタッグは、同カテゴリ後発参入の懸念を払拭。デビューと同時にユーザーへ大きな安心感をもたらす材料と言えるだろう。
さらにもうひとつは、多くのライバルモデルとは一線を画す「セミ・メンテナンスフリー」とした点だ。一般的なオールインワン水冷ユニットは、俗称「ポン付け」と呼ばれるスタイルで、クーラント液を含め既に組み込まれているウォーターブロックとラジエターを、それぞれセッティングするだけでシステムが構築できる。手を加える余地をなくすのは、水漏れなど致命的な不慮のトラブルを未然に防ぐためである事は言うまでも無い。しかし「Kelvin S24」は2年間メンテナンスフリーではあるものの、必要に応じてクーラント液を補充するよう、マニュアルにも明記されている。さらにウォーターチューブをジョイントするフィッティングはG1/4インチを採用。互換性を確保し、DIY水冷パーツと組み合わせて拡張できるようになっている。
マニュアルには従来型オールインワン水冷ユニットの常識を覆す、クーラント液補充方法が解説されている |
このように「Kelvin S24」は多くのオールインワン水冷ユニットとは異なり、メンテナンスフリーの顔を持ちつつ、”禁断”の拡張性をも有するハイブリッドモデルに仕上げられている。
本体チェックを開始する前に、スペック表を確認しておこう。120mm口径ファン2基がマウントできる240mmサイズラジエターと、ポンプ一体型ウォーターブロックで構成された「Kelvin S24」。対応ソケットはIntel LGA 2011/1366/1156/1155/1150/775、AMD Socket FM2+/FM2/FM1/AM3+/AM3/AM2+/AM2のユニバーサル仕様。重量はベースユニット1.2kg+冷却ファン165gとされる。なお国内正規代理店の株式会社アスク(本社:東京都千代田区)の製品情報サイトには、2014年12月現在の取り付け検証済みPCケース(Fractal Design製)が開示されている。