エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.414
2015.05.15 更新
文:GDM編集部 池西 樹
続いて、TDP220Wまで対応する堅牢な電源回路を生かし、CPUのオーバークロックに挑戦してみることにしよう。「GA-990FXA-UD5 R5」では簡易プリセットが用意されていないため、Windows上で動作する謹製ユーティリティ「EasyTune6」にて、コア電圧と倍率のみを変更してどこまで高クロックが狙えるのかチェックしている。
コア電圧を+0.200Vまで引き上げることで、倍率23.5倍(4.70GHz)までは安定動作が可能 | |
アイドル時は7倍までコアクロックが低下するため、オーバークロック状態でも消費電力への影響は最小限に抑えることができる |
今回のCPUはやや耐性が低いようで、コア電圧を+0.200Vまで引き上げた状態でも、ベンチマークが完走したのは23.5倍(4.70GHz)まで。OSの起動は倍率24.5倍(4.90GHz)でも可能なものの、ベンチマーク実行と同時にフリーズしてしまい、安定動作させることができなかった。とは言え、定格から1割以上のクロックアップに成功しており、常用環境としては上々の結果と言えるだろう。
「GA-990FXA-UD5 R5」とFX-8350のオーバークロック耐性を確認したところで、パフォーマンスへの影響を「CINEBENCH R15」を使いチェックしておこう。
CINEBENCH R15(cb) |
シングルコアのテストでは、TurboCore機能により定格でも4.20GHzまで動作クロックが引き上げられるため、約9%とクロック向上率よりもやや低調なスコア。ただし定格時に4.00GHz前後で安定するマルチコアテストは、約15%とほぼクロックに準じたパフォーマンス向上を実現している。マルチスレッド処理を重視するなら、CPUのオーバークロックは有効な手段となるだろう。
最後にオーバークロックによって、消費電力がどの程度増加するのか確認しておこう。アイドル時は10分間放置した中で最も低い値、高負荷時は「CINEBENCH R15」実行中で、最も高い値とした。
消費電力(W) |
アイドル時は省電力機能が有効に働き、オーバークロック状態でも66Wと低く抑えられているのは、常用を検討しているユーザーには嬉しいところ。一方、高負荷時は、定格比約80W増と一気に消費電力が跳ね上がる。「GA-990FXA-UD5 R5」では、TDP220Wまで対応する堅牢な電源回路のおかげで問題ないが、電源回路が弱い(ヘタった)マザーボードでは安定動作させるのは難しそうだ。
登場から3年半以上が経過したSocket AM3+プラットフォーム。黎明期に導入したユーザーの中には、PCの不調を感じる人もいるのではないだろうか。特にAMD FXシリーズは高負荷時の消費電力が高く、電源回路への負担も大きいことから、マザーボードの劣化が進んでいる可能性がある。そういった場合には「GA-990FXA-UD5 R5」への換装をぜひオススメしたい。現行ほぼすべてのCPUに対応する互換性の高さと、TDP220Wモデルをサポートする堅牢な電源回路により、安全かつ確実な換装が可能。さらにオーバークロックメモリが比較的容易に導入できるのも大きなメリットとなる。
GIGABYTE製マザーボードの特徴である、高い耐久性や信頼性はそのままに、オーディオ回路を刷新した「GA-990FXA-UD5 R5」。新PCだけでなく既存環境からのアップグレードにも良さそうだ |
また高音質なオーディオ回路や、3-Wayまでのマルチグラフィックス対応を生かし、ハイエンドゲーミングPCのコアにも好適。先日発表されたロードマップを見る限り、Socket AM3+は来年までは安泰。それならば、「GA-990FXA-UD5 R5」と価格のこなれてきたFX-9000シリーズを使い、AMD最強マシンを構築して楽しむのも面白いだろう。