エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.416
2015.05.27 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
昨年末、国内市場での販売が開始され、一躍ミドルタワーPCケースの定番モデルに数えられるようになった「Define R5」シリーズ。いち早くお届けした検証記事は、今なお多くのアクセスを集め、セールスも堅調と聞く。このようにFractal Designの看板モデル「Define」シリーズは着実に進化を遂げ、世代交代はスムーズに完了した。その好調の中、このほど新作ミドルタワーPCケース「Define S」シリーズを投入。シリーズのさらなるテコ入れを行った。
Fractal Design「Define S」(型番:FD-CA-DEF-S-BK) 市場想定売価税抜13,200円(2015年5月22日発売) 製品情報(Fractal Design) Fractal Design「Define S Window」(型番:FD-CA-DEF-S-BK-W) 市場想定売価税抜14,850円(2015年5月22日発売) 製品情報(Fractal Design) |
その外観デザインから「Define R5」シリーズのバリエーションモデルと考える向きも多いだろう。確かに設計のベースは「静音」であり、特異な「遮音設計」や新たに導入されたトップパネル部の通気孔をふさぐ「ModuVent™」の存在など、共通点は多い。しかし今回導入された「Define S」は、それらのコンセプトに加え、水冷の導入を軸に設計された水冷のためのPCケースといえる。
「Define R5」も多数のラジエター搭載スペースが確保され、一般的なミドルタワーPCケースと比較して水冷は構築しやすい。加えて「Define S」は、大胆に確保された内部空間により、ポンプやリザーバーの設置スペースを用意。特に「DIY水冷」を得意とする内部構造で、しっかりと差別化が図られている。明確なコンセプトの違いにより、単なるバリエーションモデルではない事は、検証を進めるうちにお分かり頂けるはずだ。
実機に触れる前に、まずはスペック表から「Define S」の概要を掴んでおこう。ちなみに似て非なる新設計モデルとはいえ、「Define R5」(以下 R5)を引き合いに比較してみよう。
「Define S」の対応フォームファクタは、ATX、MicroATXおよびMini-ITXで、主素材にはスチールが使用されている。また外形寸法はW233×D520×H451mmで、「R5」のW232×D521×H451mmとほぼ同様。ただし重量は9.1kg(アクリル窓付きは8.5kg)に対し「R5」は11.2kgとなり、2.1kg軽量化されている。これは内部構造の違いに理由がある。
また両者の最大の違いは、ドライブベイレイアウトだ。あくまでスペック表ベースだが、「Define S」は2.5/3.5インチ共用シャドウベイ×2段と2.5インチシャドウベイ×2段のみ。「R5」にあった5.25インチオープンベイ×2段と、2.5/3.5インチ共用シャドウベイ6段分が省略されている。