エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.435
2015.08.26 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
PhanteksブランドのPCケースは一貫して、水冷パーツとの「親和性」がひとつのテーマになっている。新作「Enthoo Pro M」も例に漏れず、3カ所のラジエター設置スペースをはじめ、ポンプやリザーバーの搭載を考慮した仕掛けが用意されていた。検証の最後に、水冷パーツの搭載を想定した設計箇所を解説しよう。
ラジエター搭載可能ポイントは3カ所。それぞれ単にマウントできるだけでなく、周辺コンポーネントとの物理的解消を避ける空間が確保されている(マニュアル抜粋) |
DIY水冷を想定して設計されたPCケースの定番といえば、フロントパネル裏のラジエター搭載スペースだ。これまで多くのPCケースでは、25mm厚冷却ファンが搭載できる程度の空間しか確保されていなかった。しかし、240mmサイズのラジエターが当たり前のように普及し、デュアル水冷を構築する自作派が増えたことで、フロントパネル裏が”解放”された。
ただし、ほとんどの場合このエリアはケージタイプのシャドウベイとトレードオフの関係にあり、ストレージ収納力が犠牲になる点はやむを得ない。「Enthoo Pro M」は敢えてシャドウベイを省略。全段オプション扱いとしたところに、製品コンセプトの強いメッセージを読み取る事ができる。
5.25インチオープンベイユニットを取り外すと、そもそもシャドウベイがないフロントパネル裏には最大360mmサイズラジエターまで設置する事が可能。マザーボードまでの距離はかなり確保されているため、ラジエター厚も気にならない |
実測で幅170mm、奥行き385mmにもなる、マグネット式防塵フィルタを備えたトップパネル部。ここはラジエター搭載スペースの定番だが、フロントパネル部同様、最大で360mmサイズまでマウントできるようになっている。
「Enthoo Pro M」は一般的なミドルタワーPCケースよりも幅が235mmと広い。加えてラジエターの搭載位置が左サイドパネル寄りにレイアウトされている。これはラジエターと冷却ファンが、マザーボードのヒートシンク等に干渉しないよう、マージンを稼いでいるワケだ。
オールインワン水冷ユニットの240mmサイズラジエターをマウントしてみる。着脱式ブラケットのおかげで、チューブの反発力が作業の妨げになることはない | |
マザーボード基板からラジエターまでの距離は実測約70mm程度。360mmサイズラジエターをサポートするブラケットだけに、240mmサイズラジエターが小さく見える。またネジ穴がPCケースの左寄りにオフセットされている事がよく分かる |
オールインワン水冷ユニットの基本ともいうべき120/140mmサイズラジエターが搭載できる、リアの冷却ファン搭載スペース。周囲に物理的干渉を起こすものは無く、”何も考えずに”ラジエターを設置する事ができる。
120mmサイズラジエターを搭載。敢えて25mm厚ファンデュアル仕様のモデルをチョイスしたが、特記事項もなく、スムーズに作業は完了した |