エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.443
2015.10.03 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
ここからは気になる人も多いであろう、水冷ユニットの居住性を確認しておこう。「MasterCase 5」は、定番ポイントとなるトップ部へのラジエター搭載は、設計上想定されていない。確かに120/140mm口径ファン用のネジ穴はあるものの、マザーボードまでの距離が短く、空きスペースが十分ではない。一方で、フロントパネル裏スペースには、240mmサイズまたは280mmサイズのラジエターが搭載できるようになっている。そこで以前詳細検証を行った、Cooler Master「Nepton 240M」を用意し、まずはフロントパネル裏スペースを使い、水冷ユニットの導入例を見ていこう。
トップ部については、オプションの「MasterCase用 Top Cover Kit」(型番:MCA-0005-KTC00)に付属する「TOP COOLING BRACKET」を取り付ければ、240/280mmサイズのラジエターが搭載可能。システムに最適なマウントポジションが選択できる。
次に電源ユニットを搭載してみよう。電源ユニットは、背面から挿入するボトムレイアウトを採用。4本のハンドスクリューで固定された枠を一旦はずし、付属の「#6-32*6 Screw」で電源ユニット本体をネジ留め。元に戻せば作業は完了する。なお搭載テストには「V750 Semi-Modular」(型番:RS750-AMAAG1-JP)を用意。奥行き140mmのセミモジュラー式電源ユニットの750Wモデルだ。
設計上、電源ユニットの装着は背面方向からのみ。よって電源ユニットのサイズよりも一回り大きな枠を一旦取り外す必要がある。なおマウントスペース下部には、スライド着脱式の防塵フィルタが装備されていた | |
電源ユニットの有効スペースは公称200mm。実際にはそれ以上の空きスペースは確保されている事がわかる |
最後にグラフィックスカードを搭載し、空きスペースをチェックしよう。拡張スロット(PCI-Express)の平行線上には、標準で2.5/3.5インチHDDケージが搭載されており、長さ296mmまでのグラフィックスカードがマウント可能。HDDケージなしの状態では、長さ412mmまで空きスペースが拡張する。
搭載テスト用グラフィックスカードは長さ270mm。HDDケージ搭載時で実測約25mm程度の空きスペースを確認。ほぼ公称値通りのスペースが確保できていることが分かる |
Cooler Masterが自信を持って市場に投入した「MasterCase 5」シリーズ。秀作ひしめくミドルタワーPCケースカテゴリにあって、Cooler Masterがこれまで積み上げてきた技術と経験を生かし、新たなスタイルを見事に完成させた。
「FreeForm™モジュラーシステム」のビッグキーワードを軸に、PCケースには必須の「拡張性」と「機能性」、そこに「オリジナル性」を加え、これまでにない魅力的な製品に仕上げられている。好みの分かれる「デザイン性」についても、どこか歴代モデルの面影を残し、Cooler Masterらしさを感じさせる。
「MasterCase 5」(左)「MasterCase Pro 5」(右)に加え、バリエーションモデルの投入も計画されているという |
「MasterCase 5」はこのシリーズに留まらず、スタイルを自在に変える「可能性」を秘めたオプションパーツの存在により、今後ラインナップの拡充がすでに予告されている。Cooler Master渾身の新作は、これまでにない「柔軟性」を最大の武器に、進化を続けるというワケだ。
たくさんの要素が詰め込まれた「MasterCase 5」。これはシリーズの始まりにすぎない。