エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.447
2015.10.17 更新
文:テクニカルライター・藤田 忠
消費電力も大事な要素となるデュアルGPUグラフィックスカード。8pin×4基の補助電源を必要とし、最小の電源容量が1,000Wとなっている「AXR9 390 II 16GBD5」は、特に気になるポイントだ。そこでアイドル時とベンチマーク実行時の消費電力を確認してみよう。
システム全体の消費電力(W) |
アイドル時の消費電力は、「Radeon R9 390」の省電力機能がしっかりと仕事をしており、60.6Wだった。シングルGPUのハイエンドグラフィックスカードの場合、およそアイドル時は40W程度であることから20W近くアップする計算だが、デュアルGPUとしては低い。一方、高負荷時は700Wオーバーを計測。推奨1,000Wという表記は、決して大げさではない。
700Wを超える消費電力を計測した「AXR9 390 II 16GBD5」だが、3スロットを専有する巨大オリジナルVGAクーラーはGPUを十分に冷却することができるのだろうか。テストセッションの締めくくりに、GPU温度と騒音値を計測してみよう。
GPU温度(℃) | |
騒音値(dBA) |
GPU温度は3連ファンの大型クーラーを備えるだけあって、高負荷時のGPU 1が78℃、GPU 2が72℃を計測した。739Wの消費電力を考えれば、各GPUはしっかり冷却できているといえるだろう。
ただし、高負荷時の騒音値はかなり大きく、最大で61.3dBAを計測。常時60dBAオーバーというわけではないが、負荷を掛け始めるとすぐに50dBAを超え、そのまま55~60dBAの間で推移することになる。計測はバラック状態なので、PCケースに収めればもう少し落ち着くはずだが、かなりの騒音を覚悟しておこう。
15フェーズにおよぶ電源回路を実装したオリジナル基板に、「Radeon R9 390」をデュアル搭載した「AXR9 390 II 16GBD5」。3連ファン仕様の大型VGAクーラーの冷却能力は見た目通りのもので、テスト中に不安定な挙動を見せる事は一切なかった。これなら、高負荷状態が長時間続く高解像度なゲームも、安心してプレイできる能力があるとみていいだろう。
パフォーマンスだけを求めるなら、より高速な構成は他にもある。しかし、AMDプラットフォームでは間違いなくシングルカード最高峰のパフォーマンスを発揮してくれる。
国内市場向けに少量のみ限定販売される「希少品」は、AMDファンの所有欲を十分満たしてくれる、プレミアムなグラフィックスカードである事には間違いない。