エルミタ的一点突破 Vol.38
2015.10.27 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕 / 池西 樹(テストセッション)
冷却ファン回転数(室内温度22.4℃) |
省電力機能により、消費電力が大幅に下がるアイドル時はいずれも1,000rpm以下で推移。CPUの温度は十分低く保てていることから、ファンコントローラ機能を備えるマザーボードなら、さらに回転数を落としてもいいだろう。また高負荷時は定格が1,054rpm、4.60GHzで1,204rpmを計測。いずれも最高回転数の1,400rpmまで上がることはなく、まだ余力を残していることがわかる。
定格クロック:騒音値(暗騒音33.4dBA) |
アイドル時はいずれも34dBA台で、バラック状態でもまったく騒音が気になることはなかった。ファイル操作やWeb閲覧のようなライトな作業でも回転数があがることはなく、普段使いであれば極静音動作が期待できる。一方、高負荷時は定格で36.8dBA、4.60GHzでは40.1dBAまで上昇。さすがに極静音という訳にはいかないが、オーバークロック状態でも騒音に悩まされるということはないだろう。
最後に非接触型デジタル温度計による、ヒートシンク部のポイント別温度を計測してみよう。こちらも高負荷状態30分経過後の状態をチェックしている。なお受熱ベース部は中央にリテンション金具があるため、側面のCPU接触部に最も近い箇所を選択している。
高負荷状態30分経過時のポイント別温度計測結果(ファン設定Medium/定格) |
ヒートシンクごとの温度の違いを確認すると、フレッシュな外気を取り込むことができるサイドファン搭載側のヒートシンクのほうが温度は低め。また全体の傾向は、CPUに近い所から遠くなるにつれ温度が低くなっており、ヒートパイプによる熱拡散が効率よく行えている。さらにサイドとセンターの2つのファンで冷却を行うことから熱離れが良く、ヒートシンク全体の温度が低く抑えられているのも大きな特徴だ。
もはやこのクラスでの「高冷却と静音」は、製品化のためにクリアすべき必須項目となっている。それだけに単純なベンチマークテストの数値から、固有の特徴を見出すことは難しい。とはいえ、定格運用はもとより、Core i7-6700K(Skylake)の4.6GHz駆動時で高負荷時71℃はかなり優秀と言えるだろう。騒音値も最大40dBA近辺に収まり、「風魔」は見た目通り、いい働きをしてくれている。
ツインタワー式による2つのヒートシンクは、それぞれに120mm口径ファンをマウント。あたかも独立したCPUクーラー2基でCPUの冷却を賄うスタイルは、ヒートパイプが十分に機能すれば実に有効だ。特に高負荷状態が続くような使い方であれば、シングルヒートシンクよりもデュアルヒートシンクが有利。トリプルファンにする必要もなく、安心して常用できるだろう。
近頃はメモリスロットへの占有を回避する、ナロータイプのサイドフローが重宝されている。そんな中、放熱面積の広い「風魔」は大型CPUクーラーの良さを再認識させてくれる。