エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.456
2015.11.25 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
PCケースレビューといえば、どうしても凝ったギミックや自慢の独自設計を盛り込んだ、ミドルレンジからハイエンドクラスのモデルをチョイスする傾向にある。自作PCパーツの専門店では、最も取り扱い量が多く、一般的に言うところの「売れ筋」モデルが密集するカテゴリであり、注目が集中するワケだから仕方がない。しかし今回の主役、Thermaltake「Versa H20」シリーズは、売価5,000円台からの廉価版PCケースだ。
ときにハイエンドクラスのCPUクーラーより、価格が安い場合が珍しくないこのクラスのPCケースは、ひとたび火が付けば、いわゆる量販店を中心にコンスタントかつ長く売れ続ける傾向にある。自作PCの愛好家は必ずしもミドルからハイエンドばかりではなく、比較的ライトユーザーが多いエントリークラスの潜在的な需要は、PCケースメーカーにとって、決して無視できない存在にあるワケだ。
Thermaltake「Versa H23 Window /w casefan」 (型番:CA-1B1-00M1WN-04) 市場想定売価税抜5,480円前後 製品情報(株式会社アスク) |
ThermaltakeのミドルタワーPCケースと言えば、「Core」シリーズや「Suppressor」シリーズ、「Urban」シリーズなどで知られているが、今回取り上げる「Versa」シリーズは、ライトユーザーをターゲットにした、Thermaltakeの普及価格帯を下支えするモデルがラインナップされている。
編集部に届けられた評価サンプルを箱から取り出すと、想像通り、価格帯なりの軽量なミドルタワーPCケースという印象だ。しかし外装を見回し、次に内部設計をチェックすると、筆者が抱くこれまでのエントリークラスPCケースとは違い、意外にもあなどれないPCケースである事が分かった。
今回敢えてこのモデルをチョイスした理由は、検証を進めるうちにお分かり頂けるはずだ。エルミタレビューの常連である、ミドルレンジからハイエンドクラスのPCケース同様、じっくりと「Versa H20」シリーズの性格を読み解いていきたい。
「Versa H20」シリーズには、現在計5種類のバリエーションモデルが販売されている。モデル共通で、フロントパネルは通気性を重視したメッシュパネルを採用し、3種類のデザインが用意される。また、左サイドパネルは内部が確認できるアクリルウインドウを標準で装備し、ドレスアップを楽しむ事もできる。
具体的には、量販店向けとしてZOA専売モデルの「Versa H21 Window /w casefan」とPC DEPOT専売モデルの「Versa H24 Window /w casefan」をラインナップ。さらに両者には500W電源ユニット装着済みモデル「Versa H21 Window /w casefan + 500W」「Versa H25 Window /w casefan + 500W」もチョイスでき、合計4種類が販売されている。
そして今回検証する「Versa H23 Window /w casefan」(型番:CA-1B1-00M1WN-04)は、国内市場専用モデルという位置付け。なおこちらは電源ユニットがオプション扱いで、1種類のみが全国のPCパーツショップで販売されている。
また内部設計は基本的に共通ながら、フロントパネルデザインの違いにより、5.25インチオープンベイが「H21」で3段、「H23」「H24」「H25」で2段が利用可能。その他詳細スペックについては、国内正規代理店である株式会社アスク(本社:東京都千代田区)の製品サイトに詳しいので、興味がある人はチェックしてほしい。