エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.483
2016.04.09 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
標準的なミドルタワーPCケースサイズながら、ラジエターの搭載スペースはフロントおよびリアの2箇所と割り切られている。そこで今回はフロントパネル裏側に、240mmサイズラジエターを搭載してみることにした。
トップパネルとマザーボード間に余裕がないため、ラジエターはフロント(最大360mmサイズ)とリア(120mmサイズ)の計2箇所のみ搭載が可能 |
搭載テストには、120mm口径ファン2基が搭載できる厚さ64mmのラジエターを用意。標準搭載されるフロント120mm口径ファンを取り外し、マウントを試みた。なお搭載手順に別段難しいことはなく、基本的にラジエター側に付属するネジを使い固定する。
120mm口径ファンを外し、240mmサイズラジエター(全長は282.5mm)をマウント。通常であれば、シャーシとラジエターの間に冷却ファンを搭載させる事になる | |
マザーボードとの距離を十分に残し、マウント可能。通常あるはずのシャドウベイが無いため、周辺もゆったりとした空間が確保できている。ただしHDD/SSDブラケット「PH-HDDKT_02」は使用不可 |
検証の最後に「ECLIPSE P400S」のボトム部に仕掛けられた、イルミネーションをご紹介しよう。Phanteksはフラッグシップ「Enthoo」シリーズ等にもイルミネーションギミックを採用しているが、上位モデルだけでなく、普及価格帯「ECLIPSE P400S」にもPhanteksらしい遊び心を忘れていない。
フロントパネル裏、シャーシ下部に固定されたRGB LEDストリップには、9個のLEDチップを内蔵。フロントトップ中央のPowerスイッチ外周と連動し、同色で発光する。なおカラーはLEDスイッチを押す毎に変化し、10色からチョイス可能。その日の気分で変更するといった使い方もできる。
イルミネーションギミックは、Powerスイッチ周りと、ボトム部が連動。なお電源供給は、既に配線済みのSATA電源コネクタを、電源ユニットからのケーブルに直接接続するだけ | |
標準装備のRGB LEDストリップ、計9個のLEDチップが発行し、設置面を鮮やかに彩る |
メーカーや代理店は、「普及価格帯」という呼ばれ方を嫌うかもしれない。量産モデルの中でも特に販売数量を重視し、市場想定売価に合わせる必要もあるだろう。やむをえずどこかで妥協しているのではないか、という疑念は払拭できない。しかし「ECLIPSE P400S」は、Phanteksらしさを随所に見ることができた。
従来あるべき場所のシャドウベイを排除し、広い内部空間を確保。熱分離設計によるセパレート構造は、Phanteks上位機種でもお馴染みの仕掛けだ。そして細かい点にも気配りを感じさせる。フロントパネルの固定にはジュラコンキャッチを採用。よくある引き剥がしタイプに比べ、格段に扱い易い。またフロントパネルの防塵フィルタは、冷却ファン増設時を想定した大判サイズではなく、空気の取り入れ口の上下のみに装備。実に合理的な解決策だ。さらに所有欲を満たすイルミネーションギミックは、存在感を常に主張する。
とかく普及価格帯のミドルタワーPCケースは内部設計に個性がなく、メーカー特有の「らしさ」が感じられない。だが独自の味付けを詰め込んだ「ECLIPSE P400S」は、ちょっと違ったPCケースが欲しい自作派にとって、十分満足できる1台に仕上げられている。