エルミタ的「編集部で使ってみた」
2016.04.13 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
「Harpe TL」にとって、最大の注目機能といえるトラックボール。形状はシンプルな左右対称デザインで、左右クリックとスクロールホイールを搭載する。ただしこの配置では実質的に左手操作は不可能なため、右手操作に最適化したエルゴ形状の方がよかったかも |
「Harpe TL」の右端に搭載された大玉トラックボールこそ、本機を特異なキーボードたらしめている存在、いわばもう一つの主役といえる。ボール径は45mm前後で、往年のKensington「Expert Mouse」シリーズなどの57mmボールに比べて、ちょうど一回り小さいサイズ。とは言え、(繰り返しになるが)キーボード標準の装備としてはかなりの大玉ボールだ。さらに左右クリックボタンの間には、独立したスクロールホイールも実装されている。
ポインタの解像度は600 / 1000(標準) / 1600dpiとトラックボールとしてはなかなか高速で、昨今の大型ディスプレイ環境でも十分に通用する。また、3ボタン(左右クリック+中央ボタン)の同時押しでボール動作をオフにする機能、さらに左クリックボタンを押したままにする「Click & Hold」といった機能も搭載。特に入門段階でありがちな、ボール操作中にボタンから指が離れてしまうミスを防止できる。ドラッグアンドドロップ操作などに重宝しそうだ。
ボールが転がる感触は良好、やはり大玉ボールはいいものだ。しかし中央のスクロールホイールはやや低めな位置に実装されているため、回すより中央ボタン(スクロールモードへの移行)として使用していた |
そして実際の感触だが、ボールを転がした際の操球感はなかなか良好。やはり大玉サイズのボールを操作するのは楽しく、手持ち無沙汰な時に意味もなく転がして遊んだりするのも気持ちいい。
ただし内蔵のエンコーダに多少残念な点があり、縦方向の動きには時折違和感を覚えるシーンがあった。加速の効き(標準で加速がきく仕様になっている)も個人的にしっくりこないものがあったが、結果的にフリーのソフトウェアをあれこれ試すことで、操作感は大幅に改善できた。トラックボールは各メーカーで動作の最適化や補正のためのソフトウェアを提供している例も多いため、できれば「Harpe TL」純正の補正ツールが欲しいところ。現行で快適に使用するためには、ユーザーが自発的にソフトウェアを探すなど、ある程度突っ込んだ付き合い方が必要になりそうだ。
操作感の改善には、特に加速度境界の設定が効果的。こうしたフリーのカスタマイズツールを使用することもできるが、できれば純正ソフトのリリースに期待したい | |
キーボードとしての完成度は、Cherryスイッチ搭載モデルと同等。ただしデスク面からやや高さがあるため、パームレストの使用がほぼ必須な印象だった。なお試用環境では、ダイヤテックの大理石パームレスト(Lサイズ)を使用している |