エルミタ的「編集部で使ってみた」
2016.04.19 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
好評連載「店長ナカジマのレアモノPickup!」でお馴染み、サンコーレアモノショップ秋葉原総本店 店長の中島さんが持つのは、今回取り上げる「スーパーダビング8」だ |
キュートな店長・中島さんがナビゲートする人気コーナー「店長ナカジマのレアモノPickup!」でお馴染み、サンコー株式会社(本社:東京都千代田区)から、8mmフィルムデジタルコンバーター「スーパーダビング8」(型番:ANFMCNV8)が発売された。
3月22日付けリリース記事掲載後、実に多くの反響があり、サンコー直販サイトをはじめ、サンコーレアモノショップ秋葉原総本店では、早々に初回ロットは完売。執筆現在、入荷待ち(予約受付中)状態になっている。いにしえの8mmフィルム所有者にとって「待望」とも言える救世主的存在「スーパーダビング8」とは、どんな製品なのだろうか。
スーパーダビング8(型番:ANFMCNV8) 直販価格税込49,800円(2016年3月発売) 製品情報(サンコー株式会社直販サイト) |
光学メディアはおろか、ビデオも無いその昔、大切な思い出を動画で記録できる手段といえば、家庭用8ミリだった。8mm幅のフィルムには、モノクロまたはカラーの動画が撮影可能。筆者の実家にも、音声機能が無い「サイレント方式」の8mmフィルムが多数残されている。
子どもの頃、我が家では決まって何かのお祝い事や、夜更かしができる休日前のアトラクションとして「試写会」が開かれた。部屋の明かりを消し、スクリーン代わりにカレンダーの裏面に映し出される映像を、食い入るように見た記憶が今でも鮮明に残っている。家庭用8ミリとは特別な存在であり、過去を記録した貴重な財産として、今でも特別な思い入れがある。
筆者の実家に眠る8mmフィルム。50年前のフィルムも存在し、保存状態の悪さからカビやフィルム自体の劣化が着実に進行している |
しかし今では肝心な映写機が動かない。完全に壊れてしまう以前にもハロゲンランプが切れてしまい、既に取り扱いが終了していた映写機メーカー「セコニック」(当時、市ヶ谷に事務所があった)に出向き、売り物ではない「在庫除外品」を比較的高額で購入した事がある。それでも数年と持たずに、機械自体が完全に故障。思い出の8mmフィルムは、かれこれ10年以上、ハロゲンランプを浴びることなく、押し入れのどこかで忘れ去られている。
我が家同様、思い出多き8mmフィルムが日の目を見る事無く、押し入れの隅に追いやられているケースは少なくないだろう。とはいえ、今では8mmフィルム映像を光学メディアにダビングしてくれるサービスも多数存在。その気になれば多少の出費は覚悟の上、これを利用する手がある。しかしこの作業を家庭で手軽にできてしまうのが、今回の主役「スーパーダビング8」なのだ。
ちなみに8mmフィルムをフルHDで取り込む事ができる製品として、過去にPacific Image「ScanSuper8」を紹介している。掲載当時(2015年11月19日)の売価は税込216,000円。記事では「8mmフィルムの複数所有者ならば、決して高くはない」と結ばれているものの、現実には二の足を踏む価格であることは否めなかった。
以前紹介したPacific Image「ScanSuper8」。なかなか本格的なプロ仕様の見栄えだけに、価格は税込21,6000円と、かなりハードルが高かった |
直接的には比べられないものの、先日販売が開始された「スーパーダビング8」は、その4分の1の価格だ。8mmフィルム所有者にとって、税込約5万円は大いに魅力的であり、売価20万円クラスを迷った末に見送った人には、かなり心動かされるはず。初回ロット完売以降、多くのバックオーダーを抱えた状況が、それを裏付けている。前置きはここまで。早速実機に触れてみよう。
保存状態によるものの、経年劣化により色褪せていく8mmフィルム。所有者共通の悩みを税込49,800円で解消してくれる |