エルミタ的「編集部で使ってみた」
2016.04.19 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
8mmフィルムのセットが終われば、後はダビングのスタート。「スーパーダビング8」は「フレーム・バイ・フレーム」方式により、フィルムの1コマ1コマを停止しながら、3.5メガピクセルのイメージセンサーで撮影を行う。フレームレートは30フレーム。これをSDカードに保存・つなぎ合わせる事で、ぱらぱらマンガの要領で動画になるという仕組みだ。ちなみに撮影中のコマは2.4インチTFT液晶ディスプレイに映し出される。
コマに合わせてカットされた下部から、高輝度ライトを照射。光を電気信号に変換するイメージセンサーが、ひたすら撮影を行うというワケだ | |
イメージセンサーは、3.53Mega pixels(2,304×1,536)1/3”CMOS sensor |
コマの上部を覗くと、カメラが内蔵されており、真下からは高輝度のライトが発光。ダビングを開始するとカタカタとコマを送る音とともに、撮影が始まる。なお、付属の映像出力ケーブルをモニタに接続すれば、ダビング中の画像が表示可能。ダビング後のファイル再生にも対応する。
なお3分の動画で所要時間は約35分間、容量は約160MBとされる。今回のテストでは、数本のダビングを試みたが、気の長い作業である事は確か。劣化した8mmフィルムが切れたり、コマ送りがうまく行かずに空回りするトラブルにも遭遇した。ダビング中はやや目が離せない状況になったものの、仕上がりの期待感が勝るため、さほど気にならない。
何ものにも代えがたい、思い出が詰まった8mmフィルム。長くしまい込まれた「家族の記憶」が、世代を超えて蘇る「スーパーダビング8」は、実にステキなキカイだ。
ダビング1本目、カタカタ音5分経過辺りで、8mmフィルムが突然切れてしまった。まさしく経年劣化を感じさせるトラブルだが、慌てる事は無い。フィルムを切り貼りする「編集作業」は8mmフィルムの楽しみ方のひとつであり、ひとまずセロテープで応急処置をすればいい。当時父親が器用に修復する姿を横から眺めていた事を思い出し、見よう見まねで補修。そんな記憶も懐かしく、コマを静止画として撮影する「フレーム・バイ・フレーム」が、再びカタカタと動き出した。
「スーパーダビング8」にどう価値を見出すか。これから8mmフィルムで撮影を行う事がないだけに、過去を蘇らせる機械に未来はない。なんとも妙な話だが、ここは8mmフィルム所有者の思いに委ね、敢えて結論を出すことはないだろう。撮影当時の記憶もさることながら、長い間日の目を見る事がなかったその年月を思えば、「スーパーダビング8」の存在は間違いなく大きい。