エルミタ的一点突破 Vol.41
2016.09.02 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕 / 池西 樹
ヒートパイプはφ6mm×3本が使用されている。受熱ベースプレートでCPUの熱を吸い上げ、これをアルミニウム製放熱フィンへ拡散させる、”熱輸送”がヒートパイプの役割だ。これを最大限に発揮させるため、サイズではオリジナルCPUクーラー製造における、重要なノウハウの一部をコッソリ公開。これが実に興味深い。
8月11日に開催された「ツクモで真夏のCPUクーラー対決!?~OCで白黒はっきりしちゃいます!~」で初披露された「白虎」プレゼンセッションでは、サイズオリジナルCPUクーラー、その設計思想の一部が紹介された |
先日秋葉原で開催されたCPUクーラーイベントに参加したサイズのプレゼンテーションによると、CPUクーラーで最も重要な部分は、熱を受ける「ベースプレートの精度」だと言う。「白虎」では「高精度ベース構造」を採用。熱伝導率に優れる銅製受熱ベースを5mm厚とした。
受熱ベースプレートは銅製(C1100)。腐食を防ぐニッケルメッキ処理が施されている。なおベース部のサイズは38×38mm | |
受熱ベースプレート上部はヒートシンク形状で、中心部の溝はブリッジ式リテンションプレートが横断する |
さらに重要なのが、ヒートパイプの扱い方だ。サイズ開発担当者によると、ヒートパイプの効果的な利用方法は「なるべく曲げないこと」、さらに「潰さないこと」の2点。ヒートパイプは直線状態が最も能力を発揮。曲げの加工精度や技術力により、性能が大きく変わってしまう。極端な例として、ヒートパイプを潰したり、曲げたりすることで、φ6mmパイプは60W→35Wまで、φ8mmパイプは110W→47Wまで能力が低下することがあるという。
「白虎」で使用されているのは、φ6mmヒートパイプ3本。熱輸送能力を下げる無用な曲げ加工を行わず、シンプルにレイアウトさせている |
そこで「白虎」では、銅製受熱ベースプレートの厚さを5mmとし、φ6mmヒートパイプを潰さずに埋め込まれている。加えてベースプレートとヒートパイプを密着させるために使用する「はんだ」の量もふんだんに使用。同じサイズ製品でも、数年前のモデルとは技術的な違いがあるため、冷却能力自体が向上しているそうだ。
同じサイズ社製のCPUクーラーも、改良を重ねて冷却能力自体が向上しているという。ソケット形状さえ合えば、長く使い続ける事ができるパーツだが、見えない部分での進化は買い換えを検討するに値する事を覚えておこう |
全高130mmを実現するために重要なポイントは、標準搭載されるPWM対応92mm口径ファンの存在。「白虎」では25mm厚のリブ無し冷却ファン1基を、ワイヤークリップで固定。シングルファンで冷却を賄う。
スペックは回転数が300±200~2,300rpm±10%、騒音値が7.2~28.26dBA、風量が6.70~46.55CFM、静圧は0.75~1.92mmH2O / 7.35~18.92Pa。軸受けはスリーブベアリングが採用されている。コネクタはもちろん4pin。
冷却ファンはワイヤークリップで固定。シングルファンでの運用が前提で、現時点デュアルファン化させるためのクリップ同梱やオプション販売はアナウンスされていない | |
92mm口径ファンの型番は「SY9225SL12H-CSP」(DC12V / 0.16A)の7枚羽仕様 |