エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.514
2016.09.17 更新
文:GDM編集部 池西 樹
続いて、「ATTO Disk Benchmark 3.05」を使いシーケンシャルアクセスの最高性能を確認していこう。
ATTO Disk Benchmark 3.05 |
読込は最高2,350MB/secで公称値を大きく上回る会心のスコア。書込も公称値に迫る最高870MB/secを計測し、シーケンシャルアクセスに関しては、読込・書込とも公称値と同等かそれ以上のパフォーマンスが期待できる。ただし、ファイルサイズが12MBを超えると急にパフォーマンスが低下する現象が発生。当初過熱によるサーマルスロットリングを疑ったが、ファンで風を当てるなどの対策をしてもスコアは変わらず。プラットフォームの変更も効果がなかった。NVMe SSDでは、インターフェイスだけでなくプロトコルも変更されているため、一部のベンチマークでは正確に計測ができない可能性がある点は覚えておく必要がある。
従来のSSDに比べて圧倒的なパフォーマンスを発揮する分、発熱も多いNVMe SSD。「M8PeG」シリーズでは、コントローラやNANDフラッシュを冷却するためヒートシンクを実装しているが、その効果について最後に確認しておこう。負荷テストには「CrystalDiskMark 5.1.2」(データサイズ32GiB / 繰り返し回数9回)を、温度の測定には「CrystalDiskInfo 7.0.3」を使用し、ヒートシンクの有無による温度差を計測した。なおアイドル時は起動直後10分間放置した状態の温度、高負荷時はベンチマーク実行中の最大値をそれぞれ採用している。
「M8PeG」シリーズの温度(℃ / 気温27.8℃) | |
ヒートシンクを取り外した状態のサーモグラフィ結果。コントローラ部分の発熱が最も大きいことがわかる | |
ヒートシンクを装着した状態のサーモグラフィ結果。ヒートシンク全体にまんべんなく熱が拡散しているのが確認できる |
ヒートシンクを搭載しない場合は最高73℃まで温度が上昇。一方、ヒートシンクを搭載するとアイドル時は-3℃、高負荷時では-4℃の69℃までしか上がらず、ヒートシンクによる冷却効果は確実にあることが確認できた。通常の運用で、「CrystalDiskMark 5.1.2」のように非常に高いディスクI/Oが長時間続くことはほとんどないが、デスクトップPCでの使用を考えているならヒートシンクを搭載する「M8PeG」シリーズか、PCIe HHHLに対応する「M8PeY」シリーズを選択しよう。
PLEXTORブランドから満を持して投入されたNVMe SSD「M8Pe」シリーズ。以前検証したSamsung「SM951-NVMe」シリーズと同じく、一部のベンチマークで相性と見られる挙動はあるものの、実測でシーケンシャルは2,400MB/sec、ランダムは20万IOPSを超え、コンシューマ向けでは間違いなく現行最高峰のパフォーマンスを発揮。加えて「True Speed Technology」や「True Protect Technology」など、定評のある独自機能により信頼性・安定性も担保され、安心して使用できるのも大きなメリットだ。
3種類の異なるラインナップが揃うのPLEXTOR「M8Pe」シリーズ。ノートPCや既存デスクトップPCのアップグレードにもオススメだ |
またさまざまなPCへの導入を見据え、3種類の異なるラインナップが揃うのも、コンシューマ向け製品を得意とするPLEXTORらしい配慮。価格も競合製品より安価なことから、新規にPCを組む人はもちろん、ノートPCや既存PCのアップグレードでも気軽に導入できる。今後入手性さえ改善されればNVMe SSDの鉄板モデルとして君臨する実力を備えた、完成度の高い製品だ。