エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.516
2016.09.23 更新
文:GDM編集部 池西 樹
次に、「ATTO Disk Benchmark 3.05」を使いシーケンシャルアクセスの最高性能を確認していこう。
ATTO Disk Benchmark 3.05 |
読込は最高1,580MB/sec、書込も最高570MB/secでいずれも公称値を超えるスコア。ただし、計測に時間がかかる1MB~8MBでは「CrystalDiskMark 5.1.2」と同じくサーマルスロットリングと思われる症状が発生し、性能が低下する。なお12MB以降の大幅なスコア低下は、先日詳細レビューをお届けした「M8Pe」シリーズと同じ現象。プロトコルまたはインターフェイスと、ベンチマークの相性だと考えられる。
少々強引な手法だが、SSDの真上に120mmファン(サイズ「KAZE-JYUNI PWM」)を設置して強制的に冷却。サーマルスロットリングが解消できるのかチェックしてみることにした |
「CrystalDiskMark 5.1.2」や「ATTO Disk Benchmark 3.05」で、過温によるサーマルスロットリングと思われる症状が発生した。検証の最後にベンチマーク実行中の温度を計測。さらに低回転の120mm口径ファンを使い、強制的に冷却することでどの程度パフォーマンスが改善されるのか確認してみよう。なおSSDの温度計測には「HWiNFO64」を使用し、アイドル時は起動直後10分間放置した際の温度、高負荷時はベンチマーク実行中の最高温度をそれぞれ採用している。
素のママで動作させた場合には、「ATTO Disk Benchmark 3.05」で72℃、「CrystalDiskMark 5.1.2」では75℃まで温度が上昇。サーモグラフィの結果では、85℃を超えるところもあるなど発熱はかなり大きい。一方、120mm口径ファンで冷却すると温度は最高でも60℃前後で頭打ち。サーマルスロットリングが発生していた「CrystalDiskMark 5.1.2」の16GBや32GB、「ATTO Disk Benchmark 3.05」の2MB~8MBのスコアも改善し、公称値に近い性能を発揮できるようになる。「600p」シリーズで安定したパフォーマンスを発揮させるには、追加の冷却はほぼ必須と考えていいだろう。
Intel初のコンシューマー向けNVMe SSDとして、他社を圧倒する低価格で投入された「600p」シリーズ。ハイエンド志向の先行モデルに比べるとスペックはやや低めながら、256GB以上ならシーケンシャル読込は実測1,500MB/secを超え、SATA3.0(6Gbps)SSDを大きく上回るパフォーマンスを発揮。またTLC NANDということで耐久性や信頼性に不安を感じる人もいるだろうが、総書き込み耐性は72TBWとこのクラスとしては必要十分。さらに5年保証が提供されることから、一般的な運用であれば大きなデメリットにはならないだろう。
NVMe SSDではおそらく初となるコスト重視モデル。発熱問題への対応は必要だが、SATA3.0(6Gbps) SSD並の価格でこの性能が手に入るのは魅力的だ |
唯一気になるのはやはり発熱。これまで検証してきたSamsung「SM951-NVMe」や、PLEXTOR「M8Pe」でも、高負荷時の温度はかなり高かったが、サーマルスロットリングの症状が発生したのは今回が初めて。低速ファンで風を送るだけで問題は解消できるが、マザーボードのM.2スロットの位置によっては冷却が難しい場合もあるので注意が必要だ。この点さえクリアできるのであれば、SATA3.0 SSD並の価格でワンランク上の性能が手に入るIntel「600p」シリーズは、NVMe SSDの有望な選択肢になるだろう。