エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.526
2016.11.21 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
昨今の自作PC市場は様変わりし、特にストレージにまつわる変化が顕著だ。これまで圧倒的な主役だった3.5インチHDDは、大容量ストレージとして必要な存在である事に大きな違いはない。とは言え、NVMe M.2 SSDの台頭や、安価なNANDの流通により、2.5インチSSDのバリエーションは実に豊富。外付けストレージもインターフェイスの高速化により実用的になったうえ、クラウド型オンラインストレージに至っては、付帯サービスとして無償で利用できる時代。ハードウェアに合わせ、PCケースのドライブベイレイアウトは、今転換期を迎えている。
ストレージの選択肢が多用になるにつれ、PCケースの標準的な設計スタイルが変わりつつある。ここからは「Define C」のドライブベイレイアウトをチェックしてみよう |
サイドパネル左側からアクセスするメインエリアには、ドライブベイの装備はなく、全てサイドパネル右側のマザーボードトレイ背面に集約されている。従来のPCケースでは、フロントパネル裏側がストレージ搭載スペースの定番だったが、今では大型ラジエター用スペースに取って代わった。「Define C」も例外ではない。
右サイドパネル側、フロントパネル裏手ボトム部には、3.5インチHDDが最大で2台搭載できるケージを装備。ホワイトカラーに塗装された金属製の専用トレイには、2.5インチSSD搭載用のネジ穴も用意されている。
HDDケージは歴代金属製の専用トレイを使用。Fractal Designのこだわりで、3.5インチHDDおよび2.5インチSSDの固定にはネジ留式が採用されている | |
3.5インチHDDケージは、4本のネジで底面から固定されている |
3.5インチHDDケージは、ボトム面に4本のネジで固定されている。これを取り外すことで、120mm口径ファンが増設できる。実はそれだけではない。同一面には3.5インチHDD固定用の穴も装備されており、1台分の搭載が可能だ。3.5インチHDD 2台分のケージを取り外し、1台だけ床にベタ置きするとはなんとも奇妙だが、これには理由がある。
実はフロントパネル裏面にロングタイプのラジエターを搭載する場合、HDDケージが邪魔になるため、取り外さなければならない。つまり3.5インチシャドウベイはゼロになってしまうのだ。この事態を最小限に留めようとして生み出されたのが、ベタ置きのスペースというワケだ。
底面4本のネジで固定されたHDDケージは、ボトムカバーの天板の一部「Remove PSU Shroud Plate」を外した状態から取り出しが可能 | |
「Remove PSU Shroud Plate」はフロントパネル面にある2本のネジで固定。通気孔仕様の底面には、3.5インチHDDが1台固定できる穴が用意されている |
コンパクトな設計がコンセプトの「Define C」。その象徴的な箇所が2.5インチSSD搭載スペースだ。近頃はマザーボードトレイ背面を利用するケースが多く、これ自体は取り立てて珍しくない。ただし、CPUクーラーカットアウトに覆い被さるように設置されたブラケットはあまり見たことがない。
ハンドスクリュー1本でマザーボードトレイに固定されたブラケットには、2.5インチSSD用のネジ穴を用意。ここには縦に最大3台のSSDが並べて装着できる |
合理的な設計により、空きスペースを有効に活用。CPUクーラーカットアウトにアクセスしたい場合は、都度ブラケットを外せばいい。そもそも使用頻度は高くないから、不便を感じる事はないだろう。トレイにはFractal Designのロゴがあしらわれ、「Define C」を見分ける最大のポイントになっている。
拡張スロットはATXサイズでは標準的な全7段仕様。スロット金具は、Fractal Designの伝統とも言うべきホワイトカラーに塗装済みだ。シャーシへの固定にはハンドスクリューが使用され、一度ネジが回ればドライバー無しで着脱ができる。なお金具にはスリットが設けられ、僅かながらでも通気性の確保が期待できる。
スロット金具はホワイトに塗装済み。ブラックシャーシとのモノトーン調のコンビネーションは、Fractal Design創業当時から採用されるカラーリングだ |