エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.528
2016.11.30 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
グラフィックスカードの搭載は特殊で、付属のライザーケーブルを使い、アクリル窓付きの右サイドパネルと平行にマウントする。このスタイルにすることで、ロープロファイルではなくフルサイズのグラフィックスカードが選択できる。加えて各社が競って採用するオリジナルVGAクーラーを、真正面から眺める事ができる、視覚的なメリットもある。
なおライザーケーブルは長さ約200mm。搭載可能なグラフィックスカードの奥行きは最大310mmまで。付属の「VGA Holder」を使えば、横置き時に掛かる拡張スロットへのテンションが軽減できる。
搭載可能な電源ユニットは、ミニPC等に採用されるSFX規格に限定される。これも独特の設計からくる代償のひとつと感じる部分だ。ATX規格に比べ、圧倒的に選択肢は限られてしまう。ただし、Thermaltakeからうってつけのモデルがラインナップされている。それが「Toughpower SFX 600W Gold」(型番:PS-STP-0600FPCGXX-G)だ。外形寸法は規格内の幅125mm、奥行き100mm、高さ63.5mm。80PLUS GOLD認証の高効率設計により発熱を抑え、小型筐体での運用に最適化されている。
SFX規格に対応するフルモジュラーGOLD認証電源「Toughpower SFX Gold」シリーズの600Wモデル。ケーブルはフルモジュラー式を採用する希少品で、+12Vはシングルレーン50Aの出力を誇る |
なおシリーズには450Wモデルもラインナップ。「Core G3」に搭載する電源ユニットは、同一メーカーの「Toughpower SFX Gold」がオススメだ。
奥行き100mmの「Toughpower SFX 600W Gold」と、同一フロアのHDDケージまでの距離は実測で約90mm程度。実質裏配線はできない設計だけに、余ったケーブル置き場として貴重な空間になるはずだ |
そもそも小型PCの代表格であるMini-ITX規格は、デスクトップ用のCPUとハイエンド志向のグラフィックスカードが搭載可能だ。対応PCケースも豊富で、ストレージ収納力が自慢というミニタワーも存在する。そんな自作市場にあって、敢えてATX規格を選び、拡張スロットは実質1本のみの利用。ストレージは2.5インチSSDまたは3.5インチHDDが最大で2台までの搭載に限られる。電源ユニットはATX規格は使えず、SFX規格に対応。CPUクーラーの有効スペースは高さ110mmだ。
とは言えど、なにかと制約はあるが、かえってそれが面白い。「Core G3」はそんなPCケースだ。設置場所を選ばないスリムな筐体は、幅140mmのスペースがあればいい。フロントパネルには最大で240mmサイズのラジエターが搭載できるため、CPUクーラーの高さ制限も気にしない。ストレージに限っては、容量単価が安いため、思い切って大容量モデルを導入したり、場合によっては外付けまたはオンラインストレージサービスを有効に活用する手もある。なによりATXマザーボードは圧倒的に選択肢が豊富で、メモリスロットの多さはアドバンテージになるだろう。
確かにはじめは窮屈に感じるかもしれない。しかし実機に触れていくにつれ、気にならなくなる。そこは設計の妙であり、幅140mmのスリムな筐体ならではの楽しみ方がそこにはあるのだ。