エルミタ的一点突破 Vol.45
2017.05.26 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕 / 池西 樹
最後に非接触型デジタル温度計とサーモグラフィを使い、ポイント別温度をチェックしておこう。こちらはファンを標準回転、クロックを定格にした状態で、ストレステスト30分実行後に計測をしている。
高負荷状態30分経過時のポイント別温度計測結果 | |
高負荷状態30分経過時のサーモグラフィ結果 |
ポイント別温度を確認すると、CPUに最も近い受熱ベース部の34.2℃が最高で、熱源から離れるに従って低下。またデュアルヒートシンクの温度を比較すると、フレッシュなエアを取り込むことができる画像奥側のほうが、手前側のヒートシンクに比べて全体的に温度が低い順当な結果だ。
サーモグラフィの結果は基本的に、ポイント別温度計測と同じ。さらにヒートパイプ部分の熱が特に高いことから、CPUの熱を効率的に拡散できている様子が伺える。なお右側面下側の温度が全体的にやや高めなのは、グラフィックスカードを搭載しているのが原因だと考えられる。
2014年に検証を行った「NH-D15」では、CPUにIntel Core i7-4770K(Haswell/4コア/8スレッド/3.50GHz/TB時最大3.90GHz/8MB/TDP84W)でテストを実施している。Intelも第7世代Coreプロセッサまで進化しているワケだが、なんと言ってもこのモデルはSocket AM4専用。CPUを最上位Ryzen 7 1800X(8コア/16スレッド/3.6GHz/ブースト4.0GHz/TDP95W)に変え、ほぼ同様のテストを行った。
CPUの違いがあるため、両者を比較することはまったくナンセンスだが、Ryzenの出来の良さも手伝って、非常に良好な結果を残した。ちなみに編集部では最近、水冷ユニットの検証を立て続けに行っている。単純な冷却能力比較では、120mmと240mmサイズラジエターモデルとのほぼ中間(やや240mmサイズ寄り)の冷却パフォーマンスは確認できており、Ryzen 7 1800Xを十分に冷やすだけの能力がある事が分かった。さらに静音性については、冷却ファン回転数減速ケーブル「L.N.A」を使用したところで、定格での能力差は僅かでしかない。これを積極的に使わない手はない。
さすがの体躯だけに、外観は決してスマートではないものの、見た目の印象とは違った精密なヒートシンクと、繊細な冷却ファンの組み合わせ。そのアンバランスこそ、Noctuaのハイエンド空冷の魅力と言える。Noctuaというブランドは、もう完全に出来上がってしまっている。