エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.572
2017.06.02 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕 / 池西 樹
120mm口径ファン2基を並べて搭載するラジエター。通称”240mmサイズ”ラジエターは、外観上ライバルモデルとの差別化が最も難しいパーツと言えるだろう。ただし「Celsius S24」からは少々異なる部分を見つけた。それが「ファンハブ」の存在だ。
ウォーターチューブの間に装備された「ファンハブ」。小さな基板上には3つの4pinコネクタが搭載されている |
3つある4pinコネクタ、そのうち1つは片側の”ウォーターチューブ付け根”から伸びたケーブルと接続済み。残る2つのコネクタには何も接続されていない。これは120mm口径ファンの給電用コネクタだ。多くはマザーボード上のファンコネクタを使用していたが、ラジエターにコネクタを設ける事で、面倒なケーブルの取り回しを考慮する必要がなく、スマートに設置ができる。ちょっとしたアイデアだが、今後この手法は増えていくかもしれない。
一般的なコルゲートフィンタイプのコアが採用された、アルミニウム製ラジエター。つづら折りのフィンは14列で構成されている | |
ラジエターの外形寸法は幅122mm、長さ284mm、厚さ31mm。ここに120mm口径ファン2基をマウントする |
ここでもうひとつ注目しておきたいのが、ラジエターに接続されているウォーターチューブだ。接続にはDIY水冷で標準的なG1/4フィッティングが採用されており、任意でグラフィックスカードを水冷化したり、リザーバーを接続する事ができるようになっている。通常オールインワン型水冷ユニットは「メンテナンスフリー」が基本。水漏れのトラブル等を懸念し、分解・改造ができないように作られている。しかしDIY水冷が一般化している今、より自作PCが楽しめるよう敢えて拡張の余地を残した。「Celsius S24」はオールインワン型としては珍しい、拡張できる水冷ユニットというワケだ。
240mmサイズラジエターに搭載するのは、120mm口径25mm厚の冷却ファン「Dynamic X2 GP-12 PWM」だ。Fractal Designにはカタログモデル「Dynamic」シリーズがラインアップされているが、PWM制御対応の単品発売は行われていない。つまりラジエター向けに用意された冷却ファンというワケだ。
軸受けは「LLSベアリング」(流体軸受け)を採用。回転数は500~2,000rpmで、騒音値はフル回転時でも32.3dBA。風量は最大で148.8m3/h・87.6CFMで、静圧は2.30mm H2Oとされる。
付属の「Dynamic X2 GP-12 PWM」は120mm口径25mm厚のPWM対応モデル。カラーはFractal Designブランドのコーポレートカラーでもある、ブラックフレームとホワイトインペラを採用。フレームタイプはリブ無しで、平均故障間隔(MTBF)は100,000時間 |
インペラは7枚仕様で、中心部に近い”付け根”には3つの溝が設けられている。これは空気の乱れを抑え、乱流から発生するノイズを軽減する効果が期待できる。
さらにインペラの後方には、航空機の翼からヒントを得た「トリッピングワイヤー」を採用。マイクロ乱流層を故意に発生させることで、空気の剥離が遅延。冷却ファンには効率的なエアフローを生み出す事ができるという。
独自のインペラデザインにより、大きな風量と高い静音性を確保。注意深く観察すると、細部にわたり工夫が凝らされている |