エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.579
2017.06.30 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
最後に消費電力の違いを確認していこう。測定は起動直後10分間何もせず放置した際の最低値をアイドル時、ストレステスト「OCCT 4.5.0:CPU」実行時の最大値を高負荷時に設定。“Wattup Pro”を使用して消費電力を計測している。
消費電力計測(W) |
アイドル時はRyzen 7 1700の50.1Wに対して、Core i7-7700Kは45.9Wで若干高め。一方、高負荷時はスコアが逆転し、Ryzen 7 1700のほうが約12W低くなった。TDPほどの差はないものの、コア数が単純に倍になっているにも関わらず、高負荷時の消費電力は抑えられており、ワットパフォーマンスは非常に優秀だ。動画エンコードや画像のレンダリングなどをメインで行うなら、時間を短縮しつつ消費電力を抑えることもでき、そのメリットは非常に大きい。またすべてのコアに負荷が掛かるかなり過酷なテストだが、温度は64℃で頭打ち。定格運用であればリテールCPUクーラーで十分に冷却することができる。
Ryzen 7シリーズでは最エントリークラスとなるRyzen 7 1700。画像のレンダリングや動画のエンコードなど、マルチタスクではメインストリーム向け最上位となるIntel Core i7-7700Kを圧倒するパフォーマンスを発揮。シングルタスクでは動作クロックの違いで及ばないものの、これはある意味メニーコアCPU共通の問題。その差は最大でも10%前後に収まっており、よく健闘していると言っていいだろう。またコア数に余裕があるため、シングルタスクでも同時に複数のアプリケーションを動かす場合には、違いが出てくるはずだ。
8コア/16スレッドながらTDPを65Wに抑えたRyzen 7 1700。特に6コア以上のCPUでは、ワットパフォーマンス・扱いやすさとも群を抜いている |
さらに消費電力はTDP65WのCPUらしくかなり控えめ。これまでAMD製ハイエンドCPUのウィークポイントだったワットパフォーマンスが大幅に改善。特に6コア以上のCPUでは、扱いやすさは群を抜いている。それでいて価格はCPUクーラー込みで38,000円前後とライバルより安価に設定されているのだから、人気が出るのも頷ける。解禁当初に見られたメモリの相性問題も解消され、正直大きな欠点は見当たらない。まさにAMDの復活を強く印象づける製品だ。