エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.581
2017.07.11 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
「Click BIOS 5」の左上にある「GAME BOOST」ボタンをクリックするだけで、CPUのクロックを引き上げることができる |
続いて「Click BIOS 5」にある「GAME BOOST」機能を使い、1クリックオーバークロックを試してみることにしよう。手動オーバークロックと違い、コア電圧や倍率はあらかじめ用意されたプリセットを元に自動的に設定されるため、一度もオーバークロックをしたことがないユーザーでも簡単にCPUの性能を引き上げることができる。
コアクロックは可変のためアイドル時は1.55GHzまで低下。一方コア電圧は1.450Vで固定されていた | 高負荷時には動作クロックは3.70GHzまで上昇する |
今回テストで使用したRyzen 5 1600では、「GAME BOOST」を有効にするとコアクロックは定格から+0.50GHzの3.70GHzに上昇した。OSの起動、ベンチマークとも動作に問題はなく、テスト中に不安定な挙動を示すこともなかった。すべてのモデルがオーバークロックに対応するRyzenシリーズ。あとひと伸び性能が欲しい場合、「GAME BOOST」は有効な手段になるだろう。
CINEBENCH R15(cb) |
続いてオーバークロックの効果を「CINEBENCH R15」で確認していこう。シングルコアテストでは、定格でも動作クロックが3.70GHz前後まで引き上げられるためほとんどスコアに違いはなし。一方、定格では3.20GHzから3.40GHzで推移するマルチコアでは約9%と大幅スコアが上昇した。
最後に「GAME BOOST」によるオーバークロックで、どの程度消費電力に違いがでるのか確認していこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値、高負荷時は「CINEBENCH R15」実行時の最高値とした。
消費電力(W) |
まず定格時の消費電力を確認するとアイドル時は42.1W、高負荷時でも130.1Wで、6コア/12スレッド対応のCPUとしては消費電力がかなり控えめ。一方「GAME BOOST」を有効にするとアイドル時でも約14W、高負荷時は約65Wと大幅に消費電力が増加。Ryzenシリーズでオーバークロックをする場合には、電源回路にこだわった製品を選択する必要がある。
最も競争相手の多い普及価格帯に投入されたMSI「B350 TOMAHAWK」。チップセットの制限もあり、AMD X370採用モデルに比べると拡張性については控えめ。またLEDイルミネーションやI/Oカバーなど、魅せる要素も最小限に抑えられ、多機能化かつデザイン性を重視した製品が多い近頃のマザーボードにしては、やや地味な印象を受ける。
近頃の製品にしてはやや地味な印象を受ける「B350 TOMAHAWK」。しかしその質実剛健な作りに共感するユーザーも多いはずだ |
一方で、最高3,200MHzまで対応するDDR4メモリスロットや、帯域幅32Gbpsの「Turbo M.2」など、パフォーマンス面には妥協はない。さらに「ミリタリークラス4」準拠の高品質コンポーネントや、大幅な消費電力増にも耐えられる堅牢な電源回路といった、MSIが得意とする安定性・信頼性を重視した質実剛健な作りは継承されている。
Intel製CPUに比べて優れたコストパフォーマンスを謳うRyzenシリーズ。当然ながらマザーボードに対してもよりシビアな目が向けられる。必要な機能を厳選し、価格を抑えた「B350 TOMAHAWK」は、そのような厳しいニーズにもしっかりと応えてくれる完成度の高い製品だ。