エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.592
2017.08.18 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
ベースモデル「COSMOS II」発売当時よりも、断然シェアが増えている水冷ユース。決して水冷構成に特化した設計ではないものの、計3箇所にラジエターが搭載できるようになっている。その全てに装着テストを試みた。
その1は、下段シャドウベイユニット搭載エリア。このスペースを利用し、240mmまたは280mmサイズラジエターが搭載できる。両者はトレードオフの関係にある事は致し方ないが、上段だけでストレージ容量は十分賄えるという人には、有効に活用できる場所と言えよう。
120mm口径ファン2基が標準搭載される開閉ドアは不要。さらにケージタイプのシャドウベイユニット、底面ネジ留めの台座も全て取り外してしまう |
上下2本のステイに、付属の「Radiator bracket」をネジ留め。これに240/280mmサイズラジエターを固定する。ただし隣接する強化ガラス製サイドパネルに通気孔は無い |
最も現実的なその2は、トップパネル面の利用。ここにも240/280mmサイズラジエターが搭載できる。本格的なDIY水冷はもとより、CPUソケットが近いだけに、オールインワン型水冷ユニットも扱い易い。
240mmまたは280mmサイズラジエターが搭載可能。トップパネルはメッシュ仕様だけに、外排気エアフローもストレスなく構築できる |
その3は、リア120/140mm口径ファン搭載スペースだ。オールインワン型水冷ユニットの最もオーソドックスなモデルなら、リア排気ファンのネジ穴を利用。選択肢も豊富で、ハイエンド志向の空冷クーラーに近い価格の製品も流通している。水冷である事を意識せず、普通に使えるようになった今だからこそ、積極的に導入を検討してほしい。
ここで用意したのが、間もなく販売が開始されるCooler Masterの新製品「MasterLiquid Lite 120」だ。120mm口径ファンを使ったシンプルな製品で、入門用としてオススメの1台。ともかく搭載した様子を見て頂こう。
執筆時点未発売の「MasterLiquid Lite 120」を装着。意外にも120mm口径ファン搭載スペースの上下に余裕がないため、このモデルに限ってはチューブを上に向けたレイアウトしか固定ができなかった |
昨今の自作PC市場では”魅せるPC”ブームにより、美しく発光するアイテムが数多く流通している。ベースモデル「COSMOS II」発売当時は思いもよらなかった未来であろう。時を経てリリースされた創立25周年記念モデルには「LED strip」が1本付属している。
Cooler Masterのロゴ入りで、長さは実測で260mm。SATA電源コネクタを備え、好みの場所に設置ができる。(もちろん設置しないという選択もアリ)
LEDが拡散する乳白色のカバーが装着されたLEDストリップ。設置場所はもちろん任意で、光が反射するアルミニウム素材の特性を生かし、ドレスアップを楽しもう |
最後に解説するのは、ファンコントローラー機能だ。フロントトップ部に用意されたスイッチ類のうち、Powerスイッチの左右にレイアウトされた各2つのスイッチを押す事で、冷却ファンの回転数が制御できる。この機能を有効にするためには、あらかじめ接続された合計9本のケーブルを、ラベルの貼り付けられた箇所の冷却ファンに接続しておく必要がある。
なお操作できるのは、フロント、トップ、HDD、GPUで、それぞれにはLEDインジケーターを装備。回転数は3段階制御に対応し、プッシュする毎に「Low Speed」(Blue)、「Mid. Speed」(Purple)、「High Speed」(Red)が切り替わる。システムやソフトウェアの負荷状況に応じて、エアフローをコントロールする事ができる。
9本のファンコネクタと8本のLEDコネクタを束ねると、なかなかの迫力。制御できる数に比例し、標準で接続されているケーブルはどうしても多くなる |
操作パネルの解説マニュアル抜粋。複雑なように見えて、操作すればすぐに慣れてしまうレベル。状況に応じて上手に使いこなそう |
かつて初代「COSMOS」の所有者であった筆者は、今日までの歴代「COSMOS」シリーズが常に気になる存在だった。その初代機は既に手元には無いが、斬新な外観スタイルと他を圧倒する存在感は、今もって色褪せない。創立25周年の大切な節目にふさわしい「COSMOS II」は、現代版にアレンジされた「COSMOS II 25th Anniversary Edition」として脚光を浴びることになるだろう。
一方で、この設計が現在の主流かと言えば、必ずしも当てはまらない。両サイドの強化ガラスと、付属のLEDストリップは果たしてイマドキの装備だが、大部分は2012年当時の構造が引き継がれている。ただしこれを言い換えれば「熟成」であり、発売当初斬新だった内部設計は、今でも十分通用する。そしてこれほどの巨大なUltraタワーPCケースは選択肢が限られ、これを必要とする自作派には大いに歓迎されるに違いない。
当時購入を見送った人、または新鮮に感じる人にはオススメの記念モデル。設置場所の問題さえクリアできれば重量はさておき、これほど組み込み易いPCケースはない。
協力:Cooler Master Technology Inc.