エルミタ的「編集部で使ってみた」番外編
2017.08.22 更新
文:360度カメラライター 西條 結城
「Hover Camera Passport」が本領を発揮するのは、自動追跡による人物撮影だ。ソフトウェアのスタビライズ機能も働きそれなりに綺麗に撮れる。揺れの影響が少ない静止画撮影による鳥俯瞰の空撮はおもしろく使える。
残念なことに日本の航空法では、200g以上のドローンは「無人航空機扱い」で、規制の対象となる。詳しくは国土交通省の無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール(http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html)を参照して欲しい。
「Hover Camera Passport」は、アメリカFAA(米連邦航空局)に最適化していると思われる。FAAには登録規則があり、250g以上のドローンはすべて登録が必須となる。250g以下のドローンは登録が不要だ。今後、日本市場向けの200g以下の「Hover Camera Passport」の登場に期待したい。
もしくはドローンの重さによる規制ではなく、一定水準以上の安全性が認められたドローンに限っては、規制の緩和・対象外となることを願う。 「Hover Camera Passport」は、200g以下のおもちゃであるドローンより、ずっと安全だからだ。
「Hover Camera Passport」は、当然ながら人口密集で飛ばすことはできない。人や建物や車から30m以上離れる必要がある。認可や申請があればその限りではないが、個人が趣味で飛ばすのは難しいだろう。
道路で離発着を行う場合は、道路交通法の対象にもなる。もし道路上で「Hover Camera Passport」を自動追跡させた場合には、多くの法律に接触する恐れがある。人口密集地で人や建物や車の近くを飛び、さらに道路上を飛行させた映像をSNSにアップすれば炎上し、最悪の場合逮捕され書類送検になる可能性だってある。
観光地で飛ばすこともほとんど不可能だろう。公園の多くもドローンは禁止されている。地域や組織・団体によって法律の解釈やルールが異なることも多い。
著者もテスト飛行にあたり、場所の選定に非常に悩んだ。実家の近くに草原がある。遺跡の調査が終わり今は何もない。いつか市民公園になるらしいが、今は誰も利用してない。市民に解放されている土地であり立ち入りも禁止されていない。今回は、不利益や損害が発生するものが無く、人も物も道もないため、安全確認を重ねて行い飛行をさせていただいた。
基本的に僻地で飛ばす必要がある。つまりドローンの飛行が禁止されていない河川敷、海、山などになる。河川敷、海、山も同様であるが、国や県もしくは市や区が管理・所有しているはず。厳密にいえば管理・所有者への確認が必要と考えることもできる。
このような状態であるから、個人が気軽に「Hover Camera Passport」を飛ばすとしても、現実的には建物内に限られるであろう。もちろん管理・所有者に了承を取る必要はある。
屋内での使い方としては、屋根が高ければ鳥俯瞰で集合写真を撮ったり、人を認識させて自動追跡で撮影しても迫力がある。演者として参加・呼掛けが必要になるが、バスケットの試合などドローンで撮影しても面白そうだ。
とても安全なため、はじめてのドローン入門機種としてもお勧めできる。ちょっと空撮を体験したい人にも最適だ。
協力:株式会社アスク