エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.599
2017.09.18 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
すべての製品で倍率変更によるオーバークロックが可能なRyzen Threadripperシリーズ。あくまでも自己責任になるが、UEFI BIOSからチューニングを施すことで、さらにパフォーマンスを引き上げることができる。そこで今回は全コア4.00GHz駆動を目標にコア倍率と動作電圧を調整してみることにした。
コア電圧を1.350Vに設定することで、4.025GHzまで動作クロックを引き上げることに成功。なおアイドル時(画像左)のコア電圧は変動しないものの、コアクロックは2.20GHzまで低下した |
今回のCPUでは、コア電圧を1.350Vまで引き上げることで、40.25倍の4.025GHz駆動を達成。OSの起動やベンチマーク動作にも問題はなく、テスト中に不安定な挙動を示すこともなかった。
続いて「CINEBENCH R15」で、オーバークロックの効果を確認していこう。シングルコアテストはTurbo Core機能により、定格でも4.00GHzまでコアクロックが上昇することからその差は3%とごくわずか。一方、定格ではほぼ3.40GHzで動作するマルチコアテストは約15%スコアがアップし、3,262cbをマーク。マルチスレッド処理に最適化されたアプリケーションであれば、オーバークロックでさらに処理性能を引き上げることができる。
オーバークロックを行うことで、もともと高速なマルチスレッド性能をさらに引き上げることができた1950X。最後にチューニングによって、どの程度消費電力に影響があるのか確認しておこう。計測は「CINEBENCH R15」実行時における最も高い数値を高負荷時、起動直後10分間放置した際の最低値をアイドル時に設定している。
元々TDPが180Wに設定されているため、CPU中心のベンチマークながら定格でも約280Wと消費電力はかなり大きい。ハイエンドグラフィックスカードを搭載し、ゲームをバリバリやるつもりなら最低でも600Wクラスの電源ユニットは用意したい。また今回はコア電圧を1.35Vまで引き上げているため、4.025GHz駆動時は約100Wも消費電力が増加。Ryzen Threadripperでオーバークロックをするなら、CPUの冷却や電源ユニットはもちろん、マザーボードの電源回路にも十分注意する必要がある。
現行のコンシューマ向けCPUでは、最高峰のマルチスレッド性能を誇るRyzen Threadripper。Intelからは18コア/36スレッド構成のIntel Coreシリーズ最上位モデルも控えているが、64レーンのPCI-Express3.0や、ECCメモリの対応、チップセットレベルでのUSB3.1 Gen.2など、プラットフォーム全体を通してみると優れている部分が多い。
そして、その優れた性能や高い拡張性を活かすためには、マザーボードの出来が非常に重要なのは言うまでもない。特に拡張面では、いくらCPUやチップセットに機能が備わっていても、それを活かすポートやインターフェイスが用意されていなければ宝の持ち腐れ。その点、今回検証したGIGABYTE「X399 AORUS Gaming 7」なら、4-Way対応のPCI-Expressスロットや3基のM.2スロットなど死角はなし。加えてゾーンごとの設定ができるRGB LEDライティングや、M.2 SSD用の高冷却ヒートシンクなど最先端の機能を網羅している。
アップデートまでのスパンが長いハイエンドプラットフォーム。長く使える相棒を探しているなら、機能・品質とも妥協のないGIGABYTE「X399 AORUS Gaming 7」がオススメだ |
さらに、100Wもの消費電力増でもびくともしないサーバークラスのデジタル電源回路をはじめとした高品質・高信頼設計は、定格派はもちろん、オーバークロックを狙うエンスーユーザーも納得の仕上がり。メインストリーム向けと違い、アップデートのスパンが非常に長いハイエンドプラットフォーム。「X399 AORUS Gaming 7」とRyzen Threadripperを組み合わせれば、次回のアップデートまで性能・機能とも見劣りしない、長く付き合えるハイエンドPCを組み上げることができるはずだ。
協力:日本ギガバイト株式会社