エルミタ的「編集部で使ってみた」番外編
2017.10.02 更新
文:360度カメラライター 西條 結城
対象年齢9歳以上の製品であるため、なかなか複雑だ。Astrobot Kitは部品も小さく、5歳程度の子供にはやはり難しい。なにより大人でも真剣に取り組む必要がある。9歳以上と言えば小学3~4年生だが、それでも作れるものなのかはいささか疑問。とは言え近頃のデジタルネイティブな子供達であれば、きっと可能なのだろう。
評価サンプルで一通り”遊んでみた”が、難点を言えば、iPhone 6Sの画面が小さく手順が見ずらい。ここはWindows用のデスクトップアプリも欲しかった。
一方で、パーツの取り外し用の工具が付いているのは好印象。小さい部品の取り外しが困難であり、この工具はとても役に立つ |
5歳程度の子供と一緒に作業をする場合は、9割の作業を親が行うことになる。しかし部品のピックアップや何をどうしたいかを子供と連携することで、子供にもロボットを作った経験が蓄積される。これはとても良い経験になるだろう。
ロボット教育では「LEGO Education」シリーズが有名だ。誰でも一度は遊んだことがあるLEGOブロックのロボット教材で、「WeDo 2.0」や「マインドストーム EV3」などがある。「LEGO Education」シリーズも「Jimu robot」シリーズも学び方は、ほぼ一緒である。
「WeDo 2.0」の対象年齢は5歳から9歳。サーボモーター1つといくつかの簡易センサーで構成される低年齢向けのロボット入門用キットだ。充電器付属の有無でモデルがいくつかあるが、価格は税込3万円前後で購入できる。
「マインドストーム EV3」の対象年齢は小学校4年生~中学校3年生。複数のサーボモーター(基本セットでは3つ)と複数のセンサーで構成される応用キットになる。拡張パーツや教材などさまざまなモデルが存在し、価格は税込6万円以上になるだろう。
UBTECH社の「Jimu robot」シリーズは、対象年齢が9歳以上であり、構成的には「マインドストーム EV3」に近い。「マインドストーム EV3」の方がセンサーの種類は多い。そしてサーボモーターの数は、「Jimu robot」シリーズの方がたくさん同梱されている。
著者の印象だが「Jimu robot」シリーズは、「WeDo 2.0」と「マインドストーム EV3」の中間に位置する、入門から中級向けのプロダクトに思える。適度に簡単、そして本格的なロボット教育の教材として使える。大量のサーボモーターを備えながらこの価格は本当に安いと感じる。
ちなみにアプリは、「Jimu robot」シリーズの方が洗練されている。なにより操作しやすく分かりやすい。3DGで組み立てを確認できるプレビューも素晴らしい。パーツに関しては十分な品質がある。価格が安くても材質的な見劣りはまったくない。
5歳では電子工学とプログラミングを学ぶためのロボット教育までには発展しないが、ロボットを組み立てる基礎概念のトレーニングには十分繋がっている。子供を将来のビルゲイツやジョブスにしたいと1mmでも考えたことがある親は、本格的なロボット教育が可能なUBTECH社の「Jimu robot」シリーズを購入してみて欲しい。価格が安いことが大きな魅力だ。
注意事項としては、子供のロボット教育には、親の時間も沢山使う必要があることだ。
協力:株式会社リンクスインターナショナル