エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.604
2017.10.07 更新
文:テクニカルライター・宮崎 真一
CPUソケットは、Ryzen Threadripper対応のSocket TR4。CPUの固定には、ソケット側のピン折れを防ぐため、キャリアフレームを活用する方法が採用されている点が大きな特徴だ。
CPUソケットはSocket TR4。金属製カバーの固定には、CPUの製品パッケージに付属するトルクスドライバーを用いて行う |
CPUのサイズが大きいので当然だが、マザーボード上におけるCPUソケットが占める面積は大きく、かなりインパクトがある |
MSIが「X399 GAMING PRO CARBON AC」で注力しているポイントの1つが冷却だ。基板上にはDC/PWM制御を自動認識する計6つのファン用ピンヘッダが用意され、UEFIや「Command Center」のファンコントロール機能で回転数を細かく設定可能。さらにヒステリシス機能により回転数は滑らかに変化するため、ファンのノイズを最小限に抑えることができる。
「Command Center」でマザーボード上の温度をリアルタイムで確認した様子。右下には各ファンの回転数も表示されている |
Ryzen Threadripperは、TDPが大きいこともあり、水冷ユニットの使用が推奨されているのはご存知の通り。そこでMSIでは最大2Aまで出力できるポンプ用端子を搭載し、その性能を最大限に発揮できるよう配慮した。もちろんファンコントロール機能による調整にも対応し、ノイズを抑えた運用が可能だ。
また水冷ユニット使用時のエアフロー問題を解消するため「OCファンスタンド」を標準で付属。CPUソケットの上側に120mm角ファンを別途装着。水冷ユニットを使った場合でも、CPUソケット周りやメモリモジュールに対してエアフローを確保することができるというわけだ。
装着はいたって簡単で、付属のパーツをPCケースの固定用ビスにネジ止めするだけ。なお空冷クーラーと「OCファンスタンド」を併用した場合、エアフローが乱れる可能性もあるため注意が必要だ。
実際に「OCファンスタンド」を用いて120mm角ファンを装着した様子 |
付属の「OCファンスタンド」。CPUソケットの上側に120mm口径ファンを装着することができる |
チップセットは、Ryzen Threadripper用となる「AMD X399」。2本のPCI-Express 2.0(x1)スロットや8つのSATA3.0(6Gbps)ポートは、いずれもチップセットの機能を使用。また、AMD X399はUSB3.1 Gen.2×1とUSB3.1 Gen.1×4が利用可能だが、「X399 GAMING PRO CARBON AC」ではいずれもフロントパネルなどの出力ヘッダピンとして実装している。
PCI-Express2.0やUSB3.0/2.0などの制御を行うチップセットAMD X399 | チップセットに装着されたヒートシンクを取り外したところ |
チップセットのヒートシンクにもLEDが埋め込まれており、ケーブルはその電源と制御用のものだ |
CPUの電源回路には、「ミリタリークラスVI」コンポーネントで構成された13フェーズのデジタル回路を搭載。「ミリタリークラスVI」は電力効率と電力供給が30%改善したという「チタン製チョークコイル2」や、より低いESR特性や長寿命を果たした「Dark CAPコンデンサ」、さらにより高い電力効率と安定性を実現する「Dark CHOKEコイル」で構成され、オーバークロック時における安定性の向上も期待できる。さらに、MOSFETとドライバICを1チップに統合した「Dr.MOS」を採用することで、実装面積の縮小と電力効率の向上も図られている。
13フェーズのうち10フェーズ分の電源回路には大き目のヒートシンクが装着されている |
電源部のヒートシンクを取り外したところ。「Dr.MOS」には60A出力に対応したInternational Rectifier製「IR3555M」を採用 |
PWMコントローラには同じくInternational Rectifier製「IR35201」を搭載 | 13フェーズのうち3フェーズ分はメモリスロットとバックパネルの間に実装されている |
電源部の「Dark CAPコンデンサ」は基板裏面に実装し基板面積を活用している | 基板裏面の「Dark CAPコンデンサ」にもヒートシンクが装着され、電源部は基板両面からヒートシンクで挟まれている格好だ |
EPS12V用8ピンコネクタは2系統用意され、電源周りの強化が図られている |