エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.606
2017.10.21 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
続いて、Core i7-7820XとCore i7-7700KのCPU性能を定番レンダリングベンチマーク「CINEBENCH R15」を使いチェックしていこう。
マルチコアテストでは、8コア/16スレッドというコア数が有効に働き、約7割も高速なスコア。Core XシリーズではミドルレンジクラスのCore i7-7820Xでも、マルチスレッド処理での効果は抜群だ。またこれまでメイニーコアCPUが苦手としていたシングルコアテストでも、「インテル ターボ・ブースト・マックス・テクノロジー 3.0」によりその差は3%とごくわずか。実際の作業では、複数のアプリケーションを同時に起動することが多いことを考えれば、シングルスレッド処理でも性能差を感じることはないだろう。
テストセッションのラストはメインストリーム向けのプラットフォームと比較して、どの程度消費電力に違いが出るのか確認しておこう。計測は「CINEBENCH R15」実行時における最も高い数値を高負荷時、起動直後10分間放置した際の最低値をアイドル時に設定している。
アイドル時で約30W、高負荷時はTDPの差を超える90Wの開きがあり、メインストリームプラットフォームから大幅に消費電力は増加。ただし、高品質コンポーネントによる堅牢な電源回路を搭載する「X299E-ITX/ac」。今回の検証では一貫して動作は安定しており、もう間もなく投入予定とされるTDP165Wクラスのハイエンドモデルでもまったく不安はない。
MicroATXモデルすらほとんど存在しないハイエンドプラットフォームを、Mini-ITXサイズに凝縮した「X299E-ITX/ac」。かなりのパワープレイで小型化を目指した先代「X99E-ITX/ac」の反省を活かし、2種類のライザーカードや、DDR4-SODIMMスロットを採用することで、拡張性を維持したまま小型化を実現。さらにCPUソケットも「Narrow ILM」から通常形状へと戻され、これまで難しかったコンパクト・パワフルながら静音性にも配慮したPCを構築できるようになった。
設計を見直すことで先代モデルの欠点を解消。まさに“最強Mini-ITXマザーボード”の称号がふさわしい1枚だ |
またTDP165Wに対応する堅牢な電源回路や、ハイエンドモデルでもほとんど採用例のない10層PCBなど、高品質・高耐久設計。さらにRGB LEDライティング機能や、幅広いBCLK設定を可能にする「Hyper BCLK Engine III」など、Mini-ITXマザーボードでも、遊び心を忘れないのはいかにもASRockらしい。先日のイベントでChris Lee氏は、このマザーボードを“変態”と呼んでいたが、実は細部まで緻密に設計された完成度の高い製品だった。