エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.608
2017.10.30 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
次に「ATTO Disk Benchmark 3.05」を使いシーケンシャルアクセスの最高性能を確認していこう。
ATTO Disk Benchmark 3.05 |
シーケンシャルアクセスの最高値測定に用いられることが多い「ATTO Disk Benchmark 3.05」だが、読込は最高2,483MB/sec、書込は979MB/secで「CrystalDiskMark 5.2.2」と同様、ほぼ公称値通りのスコア。ファイルサイズが48MB以上では、読込のスコアが落ちるものの、256KB以降では、ほとんどスコアにブレがないのも安定性を重視するPLEXTORらしいチューニングと言えるだろう。
比較対象にヒートシンク非搭載の「PX-512M8SeGN」を用意し、データファイルのコピー時間と温度を計測 |
ベンチマークテストの最後は、気になるヒートシンクの冷却性能をチェックしていこう。今回は総容量約100GBの70個のビデオファイルをSSD上でコピーし、作業完了までの時間とSSDの温度を測定。比較対象にはヒートシンク非搭載の「PX-512M8SeGN」を用意し、計測はベンチマーク台によるバラック状態で実施。ファンの風を当てない(以降:ファンなし)状態と、ケースファンを想定し、マザーボードの端から10cmのところに120mmファン(800rpm)を置いた状態(以降:ファンあり)の2種類の条件で行った。なおアイドル時は10分間放置した際の温度を、高負荷時はコピー実行中最も高い温度を採用した。
ファンなしの状態では、ヒートシンクのない「PX-512M8SeGN」に対し、ヒートシンクのある「PX-512M8SeG」の方がサーマルスロットリングの発生頻度が少なく、約17秒コピーが早く完了した。あまりエアフローがよくないケースで、ストレージに高負荷が掛かる作業をする場合、ヒートシンクの有無は直接パフォーマンスに直結することがわかる。一方、ファンありの状態では、いずれもサーマルスロットリングが発生せず転送速度にはほとんど違いが出なかった。
続いてSSDの温度を確認していこう。まずファンなしの温度を確認すると、アイドル時、高負荷時とも優位な差は出なかった。ただし、「PX-512M8SeG」のほうが温度上昇は緩やかで、最高温度の76℃で推移する時間が短縮。さらにファイルコピーが完了した後の温度低下も速かった。
最後にファンあり時のスコアを確認していこう。こちらはファンの風がヒートシンクにあたることで放熱効率が向上。アイドル時、高負荷時とも「PX-512M8SeG」の方が4℃低い結果となった。フロントファンによるフレッシュな外気があたる位置にM.2スロットがあるマザーボードでは、「PX-512M8SeG」のヒートシンクはかなり有効な冷却機構になる。
コピー作業300秒経過時の「PX-512M8SeG」(画像左)と「PX-512M8SeGN」(画像右)のサーモグラフィ結果。読込と書込が同時に行われる非常に重い作業のためベンチマーク時よりも温度が上昇。特に後者は100℃を超えるところもあるなど、何らかの発熱対策は必須だ |
今回のレビューでは、PLEXTORブランドのM.2 NVMe SSD「M8Se(G)」にスポットを当て検証を進めてきた。基本的な構成は以前詳細レビューをお届けした「M8SeGN」から変わらず、サーバーグレードICやカスタムファームウェアを組み合わせることで、TLC NANDを採用するコストパフォーマンスモデルながら、ハイエンドモデルに匹敵する性能を実現。また多くのベンチマークで安定したスコアを発揮するチューニングは、いかにもPLEXTORらしい堅実な作りと言える。
見た目にも美しいオリジナルヒートシンクを搭載した「M8Se(G)」。表面の流線型の溝によりケース内のエアフローを使い効率的に冷却することができる |
そして、エアフローを最適化したというオリジナルヒートシンクを搭載したことで、M.2 SSDの特徴であるコンパクトさを維持したまま冷却性能が向上。高負荷状態が長時間続くような作業でも転送速度を維持できるのは大きなメリット。最近ではマザーボード自体にM.2 SSDの冷却機構を取り入れた製品も出てきているが、一部のハイエンドモデルのみ。ミドルレンジクラス以下のマザーボードと組み合わせるため、パフォーマンスと安定性を兼ね備えたSSDを探しているなら、間違いなくオススメできる一品だ。