エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.614
2017.11.20 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
グラフィックス性能を把握したところで、ここからは新型3連ファンクーラー「TRI-FROZR」の能力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark:Fire Strike Ultra Stress Tests」、GPU温度とファンの回転数の計測には「GPU-Z」を使用。高負荷時はテスト実行中の最大値、アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値をそれぞれ採用した。
まずアイドル時の温度を確認すると、ファンが完全に停止するにも関わらず、温度は50℃を超えることはなく大型ヒートシンクによって効率的に冷却ができていることがわかる。また高負荷時はクロックに関係なく67℃で横並びで、こちらも冷却性能はまったく問題なし。ファンの回転数は「SILENT」と「GAMING」で約70rpm、「GAMING」と「OC」で約40rpm上昇しており、「GeForce GTX 1080 Ti GAMING X TRIO」では70℃前後をキープできるよう回転数が自動的に調整されているようだ。ちなみに「GPU-Z」による回転数の割合は最大でも43%で、冷却性能にはまだかなり余裕がある。
続いて騒音値を確認していこう。アイドル時はファンが完全に停止しているため聞こえてくるのはCPUクーラーの音だけ。高負荷時は回転数に準じた結果で「OC」が最も騒音が大きくなった。とは言え、数値はアイドル時から+2.9dBAの38.1dBAしかなく、バラック状態でもほとんど風切音は気にならない。ケースに搭載して、デスクの下に設置してしまえば完全にシャットアウトできるだろう。
ベンチマークのラストは、各モードによる消費電力の違いを確認していこう。こちらも「3DMark:Fire Strike Ultra Stress Tests」実行時の最大値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低値をアイドル時に設定。“Wattup Pro”を使用して計測している。
アイドル時は省電力機能が有効に働き約50Wで横並び。高負荷時は「SILENT」が351.9W、「OC」では366.8Wで、その差は14.9W。このクラスのグラフィックスカードを使う上ではほとんど誤差の範囲。GPUの温度やファンの回転数にも大きな違いはないことから、基本的には最もパフォーマンスのよい「OCモード」で使用するのがオススメだ。
GeForce GTX 1080 Ti搭載グラフィックスカードの中では、最後発になる「GeForce GTX 1080 Ti GAMING X TRIO」。その分高い完成度を求められるわけだが、新設計の3連ファンクーラー「TRI-FROZR」の出来は秀逸の一言。もともと定評のある「TWIN FROZR」のノウハウを活かし、冷却性能をさらに強化。公称TDP250WとされるハイエンドGPUの発熱を、極静音動作で完全に押さえ込むことに成功。これまで以上に高性能かつ静音なゲーミングPCを組み上げることができるようになった。
大型化されたカードサイズに見合う冷却性能と静音性を兼ね備えた「GeForce GTX 1080 Ti GAMING X TRIO」。エンスーユーザーやハイエンドゲーマーも納得の1枚だ |
さらにリファレンスから強化された8pin×2の補助電源や堅牢な電源回路により、オーバークロック仕様ながら安定動作を実現。また独自チューニングに慣れたユーザーなら、さらなるパフォーマンスアップも十分期待できる。300mmを大きく超えるカード長や、1.5kgに迫る重量など、やや取り扱いには注意が必要だが、その欠点を補って余りある魅力的な製品だ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社